p.376 抽出テキスト
[CQ25]本邦では使用できない経粘膜性フェンタニルの研究の結果も,薬理学的,臨床的に本邦で使用可能なフェンタニル口腔粘膜吸収製剤の鎮痛効果,有害作用とほぼ同等であると判断した。委員会では,突出痛に投与するオピオイドの薬剤の用語について,複数回議論した。短時間作用型製剤(short‒acting opioid;SAO),フェンタニル即効性製剤(rapid‒onset opioid;ROO),経口速放性製剤,粘膜吸収性フェンタニル,速放性製剤,レスキュードース,レスキュー薬の用語が提案された。最終的には,用語の正確性よりも判読しやすさ(リーダビリティ)を重視して,経口モルヒネ・ヒドロモルフォン・オキシコドン速放性製剤の総称を「速放性製剤」,フェンタニル口腔粘膜吸収製剤の総称を「経粘膜性フェンタニル」とした。さらに,突出痛に投与するオピオイドの経口薬,注射剤,坐剤のすべての薬剤の総称を前版と同じく「レスキュー薬」とした。委員会では,1レスキュー薬,経粘膜性フェンタニルの使用方法を,医療者は患者,家族に必ず指導すること,2経粘膜性フェンタニルを突出痛の予防に使用しないこと,3状況に応じて経粘膜性フェンタニルを突出痛の予防に使用しても差し支えないこと,4突出痛に対するレスキュー薬の使用は通常1 日4 回程度で,それを超えて服用しているときは持続痛の緩和ができていないか不適切な使用である可能性を,医療者は認識する必要がある,という意見があった。突出痛に対する経粘膜性フェンタニルの用量設定は,ほとんどの委員は,どの患者でも最小量から用量調整をする方法で行っており,定時投与されているオピオイドの投与量から設定する方法のエビデンスが実地臨床で実施可能かは明確ではない(Mercadante 2012, Mercadante 2019)。 【参考文献】1) Mercadante S, Gatti A, Porzio G, et al. Dosing fentanyl buccal tablet for breakthrough cancer pain:dose titration versus proportional doses. Curr Med Res Opin 2012;28:963‒8 2) Mercadante S, Adile C, Masedu F, et al. Factors influencing the use of opioids for break- through cancer pain:A secondary analysis of the IOPS‒MS study. Eur J Pain 2019;23: 719‒26 [CQ26,27]委員会では,オピオイドの変更を,オピオイドスイッチ,オピオイドスイッチング,オピオイドローテーションのいずれの用語を用いるか討論した。前版ではオピオイドの変更(オピオイドスイッチング)と表記したが,最終的には,用語を統一するよりも判読しやすさ(リーダビリティ)を重視して,オピオイドの変更と表記した。他のがん疼痛に関するガイドラインでは,opioid switching,opioid rotationの用語が並列で表記されている。委員会では,オピオイドの投与後に,予測される鎮痛効果が得られないときは,オピオイドに対する薬剤耐性が形成されている可能性があること,またオピオイドが有効な痛みかを再度診断する必要があるという意見があった。オピオイドの変更の具体的な例として,1フェンタニルを投与中に増量しても予測される鎮痛効果が得られないときは,モルヒネ,ヒドロモルフォン,オキシコドIII章推奨