p.371 抽出テキスト
解 説本臨床疑問に関する臨床研究としては,ランダム化比較試験が6 件ある。異なるオピオイドを比較した研究(4 件),同じオピオイドで投与方法を変えた研究(2 件)があった。すべての研究で,オピオイドは非経口投与され,PCA(patient controlled analgesia)装置付きシリンジポンプが使用された。▋がん疼痛の緩和すべての研究で,オピオイドの種類,投与方法により鎮痛効果の差は認めなかった。オピオイドが投与されている患者にジクロフェナクでPCA 投与した研究では,オピオイドの使用量が減少した。▋QOL,有害作用QOL を評価した研究はなかった。有害作用が評価された研究(2 件)では,傾眠,口渇が報告されたが,発生頻度の検定はされていなかった。▋バイアスリスクランダム化の方法の記載なし(5 件),割り付けの隠蔽(コンシールメント)の方法の記載なし(4 件),ITT 解析非実施(試験中止例を除外して解析:2 件),アウトカム不完全報告(脱落率5~20%:2 件,20%>:2 件,脱落症例のアウトカムが記載されていない:2 件),その他のバイアス(単施設研究:4 件,製薬会社の資金: 1 件)を認めた。 ** これまでの研究では,介入群,対照群の両群でそれぞれPCA を使用しており, PCA を使用した群とPCA を使わない群を比較しておらず,臨床疑問に直接対応しているとはいえない。委員会では,PCA は臨床現場では一般的な治療であり(McNicol 2015),適切な使用法を医療者が指導したうえで,患者や家族・介護者が十分に理解していれば, PCA を条件付きで推奨すると結論した。また,病院以外(施設,居宅)では,家 CQがん疼痛の突出痛のある患者に対して,医師や看護師がオピオイド注射剤をボーラス投与*することや,患者自身がボーラス投与(PCA:自己調節鎮痛法)することは推奨されるか? がん疼痛のある患者に対して,通常は医師や看護師がオピオイド注射剤をボーラス投与することを推奨する。一部の患者には,PCA によるオピオイドの持続皮下投与または持続静脈内投与を条件付きで推奨する。 (弱い推奨,とても弱い根拠に基づく)病院では,迅速な突出痛の対処が必要で,患者が装置の使用方法を十分に 理解しているとき。また,病院以外(施設,居宅)では,患者や家族の求めに応じて,医師や看護師がすぐボーラス投与を行うことができないとき。 28 *:オピオイドのボーラス投与は,「フラッシュ」「早送り」と同義。 推 奨 2D条 件