p.358 抽出テキスト
解 説本臨床疑問に関する臨床研究としては,ランダム化比較試験はなかった。そのため,臨床疑問に合致する検索式より,観察研究・コホート研究(7 件),症例集積研究(5 件)を対象研究とした。▋腎機能障害に対するオピオイドモルヒネの代謝産物を測定した研究(7 件)では,腎機能と血中濃度に関連はあったが,代謝産物と鎮痛効果に関連はない(1 件),オピオイドの有害作用との関連はない(2 件),有害作用と関連がある(3 件),他のオピオイドに変更と関連がない(2 件)研究があった。オキシコドンの代謝産物を測定した研究では,クレアチニンクリアランスとモルヒネの代謝産物の血中濃度に関連はあったが,オキシコドンの代謝産物とは関連がなかった(1 件)。ヒドロモルフォンが投与された患者の研究では,腎機能障害の有無にかかわらずすべての患者で先行オピオイドの有害作用が改善した(1 件)。腎機能障害のある患者に対して,ヒドロモルフォン(注射)で,神経毒性について検討した研究が(1件)あった。ペチジン(1 件)では,腎機能障害があると代謝産物の血中濃度が上がり,精神症状の出現と関連があった。ブプレノルフィン貼付剤(腎機能障害のある患者)とフェンタニル(腎機能障害のない患者)の比較(1 件)では,両者で鎮痛効果の差はなかった。オピオイド治療を受けているがん患者の症例集積研究(横断研究)(1 件)では,モルヒネ,オキシコドン,フェンタニルが投与された患者のうち中等度から高度の腎機能低下は,それぞれ,15%,16%,22%であった*。腎機能障害がありモルヒネが投与された患者では,腎機能障害と有害作用(強度の便秘,食欲低下)に関連があった。オキシコドン,フェンタニルが投与された患者では,腎機能障害と有害作用に関連がなかった。モルヒネ,オキシコドンの代謝産物の血中濃度と有害作用に関連はあったが,フェンタニルの代謝産物とは関連がなかった。▋バイアスリスク観察研究・コホート研究,症例集積研究が対象であるため,選択バイアス(研究対象の偏り:どのオピオイドを投与するか,治療者が経験的にあらかじめ決定して*:中等度から高度の腎機能低下:60 mL/min/1.73 m2未満,Cockroft‒Gault の式でeGFR を算出 CQがん疼痛のある,高度の腎機能障害患者に対して,特定のオピオイドの投与は推奨されるか? がん疼痛(中等度から高度)のある,高度の腎機能障害(eGFR 30 mL/min未満)患者に対して,初回投与のオピオイドとして,フェンタニル,ブプレノルフィンの注射剤を投与することを推奨する。 (強い推奨,弱い根拠に基づく) 22 推 奨 1C III章推奨