p.356 抽出テキスト
解 説本臨床疑問に関する臨床研究としては,ランダム化比較試験が5 件ある。オピオイドが投与されていないがん患者に対して,2 種類のオピオイドの効果を比較した研究(3 件),オピオイドが投与されていない,化学療法,放射線性粘膜炎のあるがん患者に対して,2 種類のオピオイドの効果を比較した研究(2 件)があった。▋がん疼痛の緩和原発部位により,オピオイドの効果に差があった(頭頸部,腹部,2 件),なかった(膵臓,1 件)研究があった。粘膜炎の痛みでは,オピオイドの効果に差がなかった(頭頸部,2 件)。オピオイドの効果に差があった研究(メサドン>フェンタニル貼付剤)でも,効果に差があった時期は限定されていた。▋QOL,有害作用QOL を評価した研究(3 件)では,頭頸部のがん患者に対して,メサドンとフェンタニル貼付剤でQOL(BPI:brief pain inventory のpain interference の項目, GPE:global perceived effect)に差はなかった。腹部のがん患者に対して,ブプレノルフィン貼付剤は,モルヒネ徐放性製剤よりも,QOL の改善を認めた(POMS, SF‒36:ブプレノルフィンはSF‒36,POMS のいずれの項目も改善を認め,モルヒネはそれらのうち活動性の項目以外で改善を認めた。SF‒36 の痛み,精神的健康,活力,POMS の怒り,活動性,疲労感,気分障害でブプレノルフィンは有意に優れていた)。放射線性粘膜炎のがん患者に対して,メサドンはフェンタニル貼付剤よりも一定時期のみQOL(BPI, GPE)を改善した。有害作用が評価された研究(5 件)では,メサドンとフェンタニル貼付剤(口渇,不眠,めまい,悪心),モルヒネ徐放性製剤とオキシコドン徐放性製剤(悪心,眠気,混乱),ブプレノルフィン貼付剤とモルヒネ徐放性製剤(めまい,眠気,頭痛,便秘,悪心)に差がなかった。放射線性粘膜炎の研究では,メサドンとフェンタニル貼付剤(口渇,副作用による脱落),モルヒネ静注とフェンタニル貼付剤(眠気,悪心・嘔吐,便秘)に差がなかった。 3 治療法に関する臨床疑問 CQがん疼痛のある患者に対して,病態(原発臓器,痛みの部位・種類)により特定のオピオイドを投与することは推奨されるか? がん疼痛のある患者に対して,病態(原発臓器,痛みの部位・種類)により,特定のオピオイドを投与することについて明確な推奨はできない。 21 推 奨III章推奨