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ためである」など)」「耐性の心配(「痛みが強くなったときに効かなくなる」など)」「習慣性の心配(「痛み止めの薬は習慣性が起こるので危ない」など)」が多かった。また,がん患者を在宅で介護する家族を対象としたBQ を用いた調査では,家族も「病気の進行への心配」「習慣性の心配」「副作用の心配」を抱いていることを明らかにしている。患者・家族のオピオイドに関する認識として,オピオイドを使用すると「麻薬中毒になる」および「寿命が縮まる」といった誤解を生じていることがある。

2  医学的真実と一致しない誤解に対してどのように対応してい

くか1 「オピオイドを使用すると麻薬中毒になる」という誤解についての真実精神依存(いわゆる「麻薬中毒*」)とは,自己制御できずに薬物を使用する,症状(痛み)がないにもかかわらず強迫的に薬物を使用するなどの行動によって特徴づけられる一次性の慢性神経生物学的疾患である。オピオイドはがん疼痛に有効な薬剤であるが,がん患者にとってオピオイドの精神依存は大きな懸念であり,オピオイド導入への障壁となる要因の一つである。しかし,現実には,がん疼痛に対してオピオイドを使用した場合に精神依存が生じることはまれであり,オピオイドを使用したがん患者を追跡したコホート研究では, 550 例中1 例(0.2%)がPortenoy による精神依存の基準を満たしたのみであった。したがって,がん疼痛で精神依存が生じる可能性は非常に低く,がん疼痛に対して精神依存になる懸念は,オピオイドの使用を控える理由とはならないと考えられる。

2 「オピオイドを使用すると寿命が縮まる」という誤解についての真実WHO 方式がん疼痛治療法が普及する以前は,「痛みに対してオピオイドを定期的に投与する」ことは少なかった。その結果,がん疼痛に対して,「痛みが耐えられなくなってから」全身状態の悪化している患者に「いよいよモルヒネの注射」を行うことが多かった。そのため,急激に血中濃度が上昇し,副作用を生じる場合もあったと推測される。このことが「モルヒネは死を早める」という印象を一般の人たちだけでなく医療者にも与えたと考えられる。しかし,WHO 方式がん疼痛治療法に基づき,痛みの強さに応じてオピオイドを定期的に鎮痛に必要な量で投与すれば,患者の生命予後に影響を与えないことを3 つのコホート研究が示唆している。Bercovitch らは,イスラエルの1 つの緩和ケア病棟の終末期がん患者を対象に,オピオイドの使用量と入院から死亡までの生存期間との相関を検討した。入院中に投与された定期およびレスキュー薬のオピオイドの平均投与量がモルヒネ経口投与換算して300 mg/日以上の群と未満の群とでは,生存期間に有意な差はなかった。また,600 mg/日以上を使用した群,300~599 mg/日を使用した群,300 mg 未満を使用した群の3 群で比較しても生存期間に有意差はみられず,オピオイドの投与量は生命予後に影響を与えなかった。Morita らは,緩和ケア病棟に入院している終末期がん患者を対象に,オピオイドの使用量と入院から死亡までの生存期間との相関を検討した。死亡前48時間にモル

*:麻薬中毒医学的には「依存性とは関係なく,大量投与時あるいは慢性的に投与した時に現れる有害反応」,法律用語では「麻薬,大麻又はあへんの慢性中毒」をいう。