p.142 抽出テキスト
解 説本臨床疑問に関する臨床研究としては,ランダム化比較試験が16 件ある。ブプレノルフィン貼付剤(9 件;鎮痛作用8 件,有害作用1 件),ブプレノルフィンの経口投与(1 件),舌下投与(2 件),注射(2 件),硬膜外投与(1 件),坐剤(1 件)の投与方法の比較研究であった。対照薬は,プラセボ(4 件),トラマドール(1 件),tilidine(1 件),モルヒネ(7件;経口4 件,注射2 件,硬膜外1 件),オキシコドン(2 件),フェンタニル貼付剤(3 件),ヒドロモルフォン(1 件),ブプレノルフィン同士(1 件),フェニトインの併用(1 件)であった(重複あり)。▋がん疼痛の緩和ブプレノルフィン貼付剤は,プラセボより鎮痛効果があり(3 件),モルヒネ,オキシコドン,フェンタニル貼付剤と鎮痛効果は同等(1 件),モルヒネ徐放性製剤より鎮痛効果があった(1 件)。ブプレノルフィンの経口投与は弱オピオイド(tilidine)より(1 件),舌下投与よりトラマドールのほうが鎮痛効果があった(1 件)。ブプレノルフィンの坐剤は同量の筋注と(1 件),硬膜外投与はモルヒネと鎮痛効果が同等であった(1 件)。▋QOL,有害作用QOL を評価した研究(2 件)では,ブプレノルフィン(舌下投与)のほうが,トラマドールよりも改善(Spitzer’s scheme:1 件),ブプレノルフィン貼付剤のほうが,モルヒネ徐放性製剤よりも改善(SF36:1 件)した研究があった。有害作用が評価された研究(13 件)では,ブプレノルフィン貼付剤のほうが,経口オキシコドン,フェンタニル貼付剤と比較して息切れが多く,モルヒネ徐放性製剤と比較してめまい,便秘,悪心が少なく,フェンタニル貼付剤,経口ヒドロモルフォンと比較して便秘,悪心が同程度であった。ブプレノルフィン(0.3 mg 筋注)のほうがモルヒネ(10 mg 筋注)よりも,めまい,悪心・嘔吐が多く,ブプレノルフィン(0.2 mg 筋注)のほうが,ブプレノルフィン坐剤(0.2 mg)よりも眠気,悪心・嘔吐が多かった。有害作用の内訳(便秘,眠気,口渇,悪心・嘔吐,かゆみ,錯乱,めまい,紅斑,脱力)が記載されており,比較されていない研究(8 件)があった。III章推奨 CQがん疼痛のある患者に対して,ブプレノルフィンの投与は推奨されるか? 安定したがん疼痛(中等度から高度)のある患者に対して,ブプレノルフィンの投与を条件付きで推奨する。 (弱い推奨,中等度の根拠に基づく)高度の腎機能障害があるとき。他の強オピオイドが投与できないとき*。 11 推 奨 2B条 件*:患者の選好,医療者の判断,医療現場の状況で,強オピオイドがすぐに投与できないとき。