p.232 抽出テキスト
悪性腸腰筋症候群による痛みのあるがん患者に対して、筋弛緩薬は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 悪性腸腰筋症候群による痛みのあるがん患者に対して、筋弛緩薬は、痛みを緩和する可能性がある。悪性腸腰筋症候群による痛みのあるがん患者に対して、筋弛緩薬を投与する。2C 弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) 本臨床疑問に関する臨床研究としては、無作為化比較試験や前後比較研究はなく、少数の後ろ向き研究や症例報告しかない。Agarらによる症例報告およびレビューでは、腸腰筋の攣縮に伴う股関節の有痛性屈曲固定(股関節を屈曲位にしている、伸展位にすると痛みを訴える)に対してジアゼパムの投与が有効であった症例が報告されている。この他に、骨格筋の攣縮に対する治療薬として、バクロフェン、チザニジン、ダントロレンナトリウムが記載されている。 ** 以上より、十分な知見ではないが、悪性腸腰筋症候群による痛みのある患者に対して、筋弛緩薬は、痛みを緩和する可能性があると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、専門家の合意により、悪性腸腰筋症候群による痛みのある患者に対して、特に腸腰筋の攣縮に伴う股関節の有痛性屈曲固定が認められた場合に筋弛緩薬を投与することを推奨する。筋弛緩薬として、最も一般的に使用されるものはジアゼパムである。ジアゼパムの効果が不十分な場合は、専門家に相談のうえ、バクロフェン、チザニジン、またはダントロレンナトリウムを検討する。 解 説 臨床疑問60 推 奨 ウム、カルバマゼピン)、三環系抗うつ薬(アミトリプチリン)、デキサメタゾンの投与が有効であった症例が報告されている。一方、がん疼痛に対するWHO方式がん疼痛治療法の有用性を示した複数の観察研究がある(P31,II-3 WHO方式がん疼痛治療法の項参照)。 ** 以上より、悪性腸腰筋症候群による痛みに対する知見は限られているが、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、悪性腸腰筋症候群による痛みを緩和すると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、専門家の合意により、悪性腸腰筋症候群による痛みに対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療を行うことを推奨する。