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p.229 抽出テキスト

III章推奨

本臨床疑問に関する臨床研究としては、無作為化比較試験はないが、前後比較研究が1件ある。Plancarteら1)の研究では、VAS 値が7〜10で、オピオイドで十分に鎮痛効果が得られないか、または許容できない眠気のためオピオイドを増量できない骨盤腫瘍の患者227例のうち局所麻酔薬の試験的な投与で鎮痛効果が得られた159 例(79%)を対象に、上下腹神経叢ブロックを施行した。72%の患者で3週間後のVAS 値が7以上から4以下へと低下した。オピオイド投与量は経口モルヒネ換算量で治療前56mg/日、治療後32mg/日と低下した。残りの患者ではVAS 値は4〜7へと中等度の低下にとどまったが、オピオイド投与量は治療後に65mg/日から48mg/日と低下した。眠気の強かった18 例の患者のうち16 例において、眠気の強さが0 〜3 の評価で2(しばしば眠そうで容易に覚醒しない)から0 〜1(清明〜ときに眠そうだが容易に覚醒)へ改善した。排尿・排便困難などの副作用は出現しなかった。

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以上より、質の高いエビデンスは存在しないが、直腸がんなどによる会陰部の痛みに対して、上下腹神経叢ブロックは、痛みを緩和する可能性があると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、直腸がんなどによる会陰部の痛みに対して、上下腹神経叢ブロックが有効な場合があるので専門家に相談することを推奨する。この他の神経ブロックとして、上下腹神経叢ブロックと同じ交感神経ブロックとして、肛門部からの交感神経由来の痛みに対する、不対神経節ブロックがある。さらに、硬膜外腔またはくも膜下腔へのオピオイドや局所麻酔薬の持続投与が選択肢になる場合がある。患者にどのブロックが適しているのかは専門家に相談することが望ましい。

NCCNのガイドラインでは、局在性の直腸肛門痛の場合は、神経破壊薬によるサドルブロック、上下腹神経叢ブロック、オピオイドの硬膜外またはくも膜下投与などが推奨されている。

(奥津輝男、井関雅子)

既存のガイドラインとの整合性

【文 献】

1)Plancarte R, de Leon-Casasola OA, El-Helaly M, et al. Neurolytic superior hypogastric plexus block for chronic pelvic pain associated with cancer. Reg Anesth 1997; 22: 562-8

【参考文献】

2)Slatkin NE, Rhiner M. Phenol saddle blocks for intractable pain at end of life: report of four cases and literature review. Am J Hosp Palliat Care 2003; 20: 62-6 3) 杉 崇史, 他. サドルフェノールブロックにより大量のオピオイド減量に成功した2症例. 日本ペインクリニック学会誌 2005; 12: 429