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胸部の痛みのあるがん患者に対して、神経ブロックは、薬物療法に比較して痛みを緩和するか? 胸部の痛みのあるがん患者に対して、神経ブロックは、薬物療法に比較して痛みを緩和する場合がある。胸部の痛みのあるがん患者に対して、神経ブロックを行う。 (弱い推奨、とても低いエビデンスレベル) 本臨床疑問に関する無作為化比較試験、前後比較研究はない。本邦の7つの緩和ケア病棟と5つの緩和ケアチームを対象とした多施設研究では、紹介された3,553 例の患者のうち136 例(3.8%)が神経ブロックを受けており、痛み、performance statusの改善がみられ、生命予後が28日以上の患者で、より効果が認められた。そのうち12%が胸部の痛みに関するものであった(Teiら)。 ** 以上より、十分な知見はないが、胸部の痛みのあるがん患者に対して、神経ブロックは薬物療法に比較して痛みを緩和する場合があると考えられる。本ガイドラインでは、専門家の合意により、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療の効果が不十分な場合、痛みが胸部に限局している場合には、神経ブロックなどによる疼痛緩和が可能か専門家に相談することを推奨する。推奨される神経ブロックには、硬膜外ブロック、肋間神経ブロック、神経根ブロック*1、くも膜下フェノールブロックがあるが、どのブロックが適しているかは専門家に相談する。一般的には、肋間神経ブロック、高周波熱凝固は1神経根毎に針の刺入が必要であるため限局された範囲の痛みに、くも膜下フェノールブロック*2は、2−3 神経分節の痛みに用いられる。硬膜外ブロックは複数分節にまたがる痛みに用いられる。これらの対応で鎮痛効果が不良の場合や、鎮痛効果は得られていても眠気などの許容できない副作用が生じている場合は、硬膜外・くも膜下腔内への持続オピオイド投与、局所麻酔薬の併用を検討する。いずれの手技においても、ブロック針の刺入部位に感染巣がある場合、出血傾向および凝固異常、ショック状態、患者の同意が得られない場合、全身状態が著しく悪化している場合は禁忌となる。したがって、神経ブロックの効果を十分に活かすためには、適切な施行時期に行うことが重要であり、胸部の限局した痛みを訴える患者は、早期に専門家に相談することが望ましい。 NCCNのガイドラインでは、胸壁に限局した痛みに対して硬膜外ブロックや肋間神経ブロックを、体幹に分布しているような痛みに対して硬膜外またはくも膜下腔へのオピオイドの持続投与を推奨している。 (八戸すず、井関雅子) 2C 解 説 既存のガイドラインとの整合性 臨床疑問54 推 奨 *1:神経根ブロック神経ブロックの一つ。神経根に局所麻酔薬やステロイドを注入し、その神経根が支配している領域の痛みを緩和する治療法。現在では高周波熱凝固装置を用いた熱凝固法が一般的。P92 参照。 *2:くも膜下フェノールブロック神経ブロックの一つ。くも膜下腔に神経破壊薬のフェノールを注入する治療法。肛門や会陰部の除痛に有効。通常の局所麻酔薬を使用する神経ブロックより効果の持続期間が長い。