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p.220 抽出テキスト

膵臓がんなどによる上腹部の痛みのある患者に対して、神経ブロックは、薬物療法に比較して痛みを緩和するか?

膵臓がんなどによる上腹部の痛みのある患者に対して、腹腔神経叢ブロックなどの神経ブロックは、痛みを緩和する。膵臓がんなどによる上腹部の痛みのある患者に対して、腹腔神経叢ブロックなどの神経ブロックを行う。  (弱い推奨、高いエビデンスレベル)

[腹腔神経叢ブロック] (P88,II-8-2-2 1腹腔神経叢、内臓神経ブロックの項参照)本臨床疑問に対する臨床研究としては、膵臓がんによる痛みに対して腹腔神経叢ブロック*と薬物療法の鎮痛効果を比較した無作為化比較試験5件を含む系統的レビュー1件(Yanら1))と、系統的レビューの作成後に出版された無作為化比較試験1件がある(Zhangら2))。Yanら1)の系統的レビューでは、対象患者は302例でブロック前の痛みのVASは5.0であった。腹腔神経叢ブロックを受けた患者群では、薬物療法を受けた患者群に比較して、痛みのVASの差は、2 週間後で−0.3、4 週間後で−0.5、8週間後で−0.6(各群の数値の記載なし)であった。オピオイド使用量は治療前30mgであったが、薬物療法単独の場合と比較して、2 週目で40mg、4週目で54mg、8週目で80mgと、使用量が少なかった。便秘の発現率が低かったが(オッズ比, 0.7)、その他の副作用(低血圧、嘔気・嘔吐、下痢、眠気)に有意差は認められず、生存率にも有意差は認められなかった。QOLに関しては、それぞれの研究で異なる評価方法を用いていたために、共通して評価できなかった。著者らは腹腔神経叢ブロックには中等度の鎮痛効果があると結論した。

**

以上より、腹腔神経叢ブロックは、膵臓がんなどによる上腹部の痛みを中等度緩和するとともに、オピオイド使用量を低下させることにより便秘を軽減する可能性があると考えられる。このほかに膵臓がんなどによる上腹部痛に対して有効と考えられる神経ブロックとして、硬膜外腔またはくも膜下腔へのオピオイドや局所麻酔薬の持続投与がある。したがって、本ガイドラインでは、膵臓がんなどによる上腹部の痛みに対して、腹腔神経叢ブロックなどの神経ブロックの適応についてなるべく早い時期に専門家に相談することを推奨する。「なるべく早い時期に」とした理由は、以下のとおりである。1腹腔神経叢ブロックが有効に行われるためには、腹腔神経叢周囲にアルコールを注入するための適度なスペースがある

臨床疑問51

推 奨

解 説**

以上より、膵臓がんなどによる上腹部の痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、痛みを緩和すると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、膵臓がんなどによる上腹部の痛みのあるがん患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療を行うことを推奨する。

2A

*:腹腔神経叢ブロック神経ブロックの一つ。胃、小腸、肝臓、胆嚢、胆道、すい臓、脾臓、腎臓などの上腹部内臓痛に適応。横隔膜脚を越えて腹腔神経叢まで針を進め局所麻酔薬や神経破壊薬を注入する。P88 参照。