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III章推奨 果をみたところ、5 例から評価が得られ、4 段階痛みの評価方法(0 〜3)で、治療前平均3から治療後1に低下した。3例は痛みの悪化、2例は眠気の悪化のために試験を中止した。 ** 以上より、ガバペンチンは、がんによる神経障害性疼痛に対して、中等度痛みを緩和すると考えられる。ガバペンチン以外の抗けいれん薬は、がんによる神経障害性疼痛に対して、痛みを緩和する根拠は不十分であるが、非がん患者の神経障害性疼痛での知見と臨床経験から有効な可能性がある。 2)抗うつ薬(1)三環系抗うつ薬*非がん患者の神経障害性疼痛の系統的レビューでは、アミトリプチリンなどの三環系抗うつ薬は、副作用として眠気、口渇、霧視、便秘、排尿障害が観察されるが、非がん患者の神経障害性疼痛に対して中等度の鎮痛効果があることが確認されている。Saartoら14)のレビューでは、「中等度の鎮痛効果」を有効と定義した場合のNNTは3.6であり、治療中断のNNHは28、重篤でない副作用のNNHは6である(P66,II-4-3 鎮痛補助薬の項参照)。一方、がん患者の神経障害性疼痛の有効性に関する知見は限られており、これまでに無作為化比較試験が1件あるのみである。Mercadanteら15)による無作為化クロスオーバー比較試験では、比較的全身状態の良いがんによる神経障害性疼痛でモルヒネ投与中の患者16 例を対象に、アミトリプチリン25mg 3日間に続き50mg 4日間とプラセボとを比較したところ、平均の痛みの強さ(NRS 5.5 →4.7 vs 5.4,p 値記載なし)や、痛みの最小値、痛みの緩和は変わらなかった。NRSでの痛みの最大値はアミトリプチリンのほうが少なくなった(8.4→7.0 vs 7.9, p=0.035)。しかし、副作用はアミトリプチリンのほうが多く、眠気(1→1.6 vs 0.8, p=0.036)、混乱(0.06 →0.6 vs 0.06, p=0.003)、口渇(1.1→1.8 vs 1.3, p=0.034)が観察された。以上より、がん患者におけるアミトリプチリンの効果は少なく、慎重に投与するべきであると結論した。(2)その他の抗うつ薬三環系抗うつ薬以外の抗うつ薬として、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor;SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(serotonin noradrenalin reuptake inhibitor;SNRI)は、非がん患者の神経障害性疼痛ではある程度の鎮痛効果があることが確認されている。非がん患者の神経障害性疼痛を主としたSaartoら14)の系統的レビューでは、「中等度の鎮痛効果」を有効とし定義した場合のNNTは3.1であり、治療中断のNNHは16、重篤でない副作用のNNHは9.6であった(P66, II-4-3 鎮痛補助薬の項参照)。一方、がん患者の神経障害性疼痛に対するこれらの抗うつ薬の有効性に関する知見は無作為化比較試験、前後比較研究ともにない。 ** 以上より、抗うつ薬については、がん患者における有効性の根拠は不十分であるが、非がん患者の神経障害性疼痛での知見と臨床経験から、がんによる神経障害性疼痛を緩和する可能性があると考えられる。 3)抗不整脈薬リドカインなどの抗不整脈薬は、非がんの神経障害性疼痛では軽度の鎮痛効果があるこ*:三環系抗うつ薬従来から使われてきた抗うつ薬の一種。中枢神経系のセロトニン、ノルアドレナリン再取り込みを阻害し、下行性抑制系を賦活することによって鎮痛効果を発揮する(代表的な薬剤としてアミトリプチリンなど)。