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III章推奨 以上より、知見は十分ではないものの、がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、痛みを緩和すると考えられる。したがって本ガイドラインでは、がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、他の機序によるがん疼痛と同様に、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療を行うことを推奨する。 がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、抗けいれん薬*1、抗うつ薬*2、抗不整脈薬*3、NMDA受容体拮抗薬、コルチコステロイド*4は、プラセボに比較して痛みを緩和するか? 推 奨がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗不整脈薬、NMDA受容体拮抗薬、コルチコステロイドは、痛みを緩和する可能性がある。がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗不整脈薬、NMDA受容体拮抗薬、コルチコステロイドのうちいずれかを投与する。2B (弱い推奨、低いエビデンスレベル) 解 説鎮痛補助薬としては、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗不整脈薬、NMDA受容体拮抗薬、およびコルチコステロイドなどがある。本臨床疑問に関する臨床研究として、非がん疼痛については、比較的豊富な臨床研究により、期待される鎮痛効果と副作用の程度が明らかにされている(P66,II-4-3 鎮痛補助薬の項参照)。一方、がんによる神経障害性疼痛についての知見は限られているが、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗不整脈薬、NMDA受容体拮抗薬、コルチコステロイドの一部について、無作為化比較試験を含む知見がある。 1)抗けいれん薬(1)ガバペンチン非がん患者の神経障害性疼痛に対して、Wiffen5)の系統的レビューでは、ガバペンチンには、めまい、眠気、頭痛、下痢、混乱、嘔気の副作用があるが、中等度の鎮痛効果があることが確認されている。プラセボは19%、ガバペンチンは42%に有効であり、NNT*5は4.3であった。治療中断はプラセボと有意差はなく(14% vs 10%)、重度ではない副作用のNNH*6は3.7である。一方、がん患者の神経障害性疼痛への有効性に関しては、無作為化比較試験が2 件、前後比較研究が2件ある。Caraceniら(2004) 6)による無作為化比較試験では、オピオイド治療中で神経障害性疼痛のあるがん患者121例を対象に、ガバペンチン600 〜1,800mg/日とオピオイドの併用治療と、オピオイド単独治療の効果を比較したところ、痛みのNRSは、ガバペンチン併用群でより低下した(7.0 → 4.6 vs 7.7→ 5.4, p=0.025)。痛みの33%低下を有効とした有効率は、投与 臨床疑問44 *5:NNT(Number Needed to Treat) 1例の効果を得るためにその治療を何人の患者に用いなければならないかを示す指標。 *6:NNH(Number Needed to Harm)何人の患者を治療すると1例の有害症例が出現するかを示す指標。 *1:抗けいれん薬けいれん(てんかん)発作に用いる薬剤で、鎮痛補助薬としても用いられる。神経の興奮や神経伝達物質を抑制する作用機序により鎮痛効果を発揮する。P69 参照。 *2:抗うつ薬主にうつ症状を緩和する薬剤で、鎮痛補助薬としても用いられる。中枢神経系のセロトニン、ノルアドレナリン再取り込みを阻害し、下行性抑制系を賦活することによって鎮痛効果を発揮する。P66 参照。 *3:抗不整脈薬不整脈の治療に使用する薬剤で、鎮痛補助薬としても用いられる。痛みによる神経の過敏反応を抑制し、また脊髄後角ニューロンの過剰な活動電位を抑制する。P69 参照。 *4:コルチコステロイド副腎皮質ステロイド。骨転移痛、腫瘍による神経圧迫、関節痛、頭蓋内圧亢進、管腔臓器の閉塞などによる痛みに使用される。痛みを感知する部位の浮腫の軽減、ステロイド反応性の腫瘍の縮小などが作用機序と考えられている。P70 参照。