GL検索 v0.1.0
この版は旧版です。新版があります: JSPM 2020 がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2020年版) 新版を読む
画像は 206 ページを描画したものです
page 206

p.206 抽出テキスト

痛みが脊髄圧迫症候群など神経麻痺の症候であるかを判断する。脊髄圧迫症候群による痛みの場合、下肢麻痺に進展した場合は患者のQOLが大きく損なわれるため、診断精度の高いMRIなどを施行し、早急に放射線治療科・整形外科などの専門家に相談する。(2)がんの治療による神経障害性疼痛化学療法による神経障害性疼痛(ビンアルカロイド系薬剤、タキサン系薬剤で多くみられる)、乳房切除後疼痛・開胸術後疼痛など外科治療による痛みなどがある。(3)がん・がん治療と直接関連のない神経障害性疼痛帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、脊柱管狭窄症などが痛みの原因となっていないかを評価する

2)疼痛の評価を行う痛みの日常生活への影響、痛みのパターン(持続痛か突出痛か)、痛みの強さ、痛みの部位、痛みの経過、痛みの性状、痛みの増悪因子と軽快因子、現在行っている治療の反応、および、レスキュー・ドーズの効果と副作用について評価する。

臨床疑問43

推 奨

がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、プラセボに比較して痛みを緩和するか?

がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療は、痛みを緩和する。がんによる神経障害性疼痛のある患者に対して、非オピオイド鎮痛薬・オピオイドによる疼痛治療を行う。1B (強い推奨、低いエビデンスレベル)

解 説本臨床疑問に関する臨床研究として、がん患者を対象とした質の高い臨床研究はない。オピオイドを中心としたWHO方式がん疼痛治療法の神経障害性疼痛への鎮痛効果を評価した観察研究がある。例えば、Grondら1)は、オピオイドを中心としたWHO方式がん疼痛治療法に基づいた治療は、侵害受容性疼痛*、混合性疼痛、神経障害性疼痛のいずれにおいても、同程度の鎮痛効果が得られたと報告した(入院時と3日後の痛みのNRS(0 〜100):侵害受容性疼痛66 →26 vs 混合性疼痛65 →30 vs 神経障害性疼痛70 →28)。同様に、Mercadanteら2)は、在宅治療において、神経障害性疼痛を含む痛みの多くは、WHO方式がん疼痛治療法で死亡前1週間前まで緩和できたとしている。また、Caraceniら(2004) 3)によるガバペンチンの効果をみた無作為化比較試験では、オピオイドによる治療が対照群として用いられ、痛みの33%低下を有効とした有効率は、投与後10日目に約60%であった。非がん患者の神経障害性疼痛に関するオピオイドの鎮痛効果を評価したEisenberg4)の系統的レビューでは、オピオイドは中等度の鎮痛効果があることが確認されている。

**

*:侵害受容性疼痛体性痛と内臓痛に分類される。末梢神経終末の侵害受容器が、熱や機械的・化学的な刺激によって受けた侵害を電気信号に変換し、脳に伝えることで自覚する痛み。P14 参照。