p.199 抽出テキスト
III章推奨 教育プログラムとして、冊子を用いた説明やビデオ、録音テープ、痛み日記、継続したフォローアップなどさまざまな方法が組み合わせて実施されていた。 ** 以上により、がん疼痛マネジメントについて患者に教育を行うことで、痛みは緩和すると考えられる。したがって、本ガイドラインでは、がん疼痛マネジメントを受ける患者には、がん疼痛マネジメントについて教育を行うことを推奨する。 *:NRS(numerical rating scale)痛みを0から10の11段階に分け、痛みが全くないのを0、考えられるなかで最悪の痛みを10として、痛みの点数を問うものP26 参照。 表1 がん患者を対象とした痛みが緩和された教育プログラムde Witらのプログラム(1997) 4)対象がん専門病院の患者 313例(オランダ) 方法介入群では、1痛みや疼痛マネジメントに関する情報提供や教育、2痛み日記を用いた痛みの記録方法の説明、3痛みについて医療従事者とどのようにコミュニケーションをとるかなどに関する説明を行った。説明を録音したテープと、冊子を用いて、個々の患者のニーズに合わせたプログラムを入院中に行った。介入群は、プログラムを受けた後、退院3日目、7日目に看護師が電話によるフォローアップを行った。退院後は介入群、対照群ともに訪問看護師が関わった群と関わらなかった群に振り分けられ、1訪問看護なしの対照群(n=103)、2訪問看護なしの介入群(n=106)、3訪問看護ありの対照群(n=51)、4訪問看護ありの介入群(n=53)の4群を比較した。データ収集は、ベースライン,退院2週後,4週後,8週後に行った。結果退院後75%の患者が冊子を全部読み、62%がテープをすべて聴き、86%が痛み日記を記録していた。訪問看護なしの群での比較では、5以上の痛みを訴える割合が低下した(2週間目:16%vs29%,p <0.05;4週目:15%vs32%,p <0.01)。訪問看護ありの群での有意差はなかった。Laiらのプログラム(2004) 5)対象腫瘍病棟に入院している患者30 例(台湾) 方法10~15分の教育セッションを5日間、痛みについて訓練を受けた腫瘍看護師が16ページの冊子を用いて行った。最後の2日間では、患者の個別の疑問に応じて、これまで学習してきたことの振り返りや、今後に向けた話し合いを行った。冊子の内容は、1痛みの日々の生活への影響、2痛みの緩和方法や処方薬剤、3オピオイドの誤解、4副作用への対処、5痛みが長引くことの弊害、6非薬物療法、7痛みの強さを観察することの重要性、8NRS*を用いて医療従事者に痛みを伝える方法、9医療従事者に痛みを訴える権利、10患者自身が行うこと、11がんの痛みは緩和できることであった。結果介入前後の比較で、介入群では対照群と比べ平均的な痛みの強さが低下していた(5.0→2.8vs4.3→3.7, p <0.05)。また、オピオイドへの正確な知識が増え、「痛みはコントロールできる」という認識が増えていた。Rimerらのプログラム(1987) 6)対象外来通院中のがん患者230 例(米国) 方法介入群の患者は、訓練を受けた腫瘍看護師とのセッションを受けた。セッションでは、1看護師が作成した重要事項記載カード(薬剤名と起こりうる副作用などが記載されている)と、2「No More Pain」の冊子(個別の鎮痛薬の服薬計画や説明が記載されている)をもとに15分間のカウンセリングを行った。冊子には、その患者に使用される鎮痛薬の種類や方法が記載され、看護師はこの冊子を枠組みとしてカウンセリングを行った。 結果 介入群では対照群と比較して、介入後1カ月後の痛みについて「痛みがない、あるいは、軽い痛み」と回答した患者が多かった(44%vs24%,p=0.07)。また、介入群の患者は、対照群の患者と比して、正確なスケジュールで、正確な薬剤量を服薬する傾向にあった。介入群では医療用麻薬に対する心配をもっている患者の割合が減少した:精神依存(addiction)に関する心配(95%vs82%,p=0.02)、耐性に関する心配(95%vs 75%,p=0.0002)。Miaskowskiらのプログラム(PRO-SELP) (2004) 7)対象骨転移のあるがん患者174例(米国) 方法トレーニングを受けた看護師が、第1週に訪問し、1冊子を用いた鎮痛薬の誤解の相談、2ピルボックスを使用した内用剤の整理、3痛み日記を利用した疼痛評価の方法、4痛みが緩和しないときの医師とのコミュニケーション方法などについて、患者の個別性に合わせた面接を行った。その後、フォローアップとして、2、4、5週目に電話で痛みの強さと鎮痛薬の使用方法を確認し、3、6週目に患者の自宅を訪問した。結果 介入群では対照群に比較して、6 週目までの痛みのNRS が有意に減少した(グラフで示されており数値の記載はない, p <0.0001)。また、介入群では、定期使用薬と頓用薬の合計使用量がより増加していた。Oliverらのプログラム(2001) 8)対象痛みのある外来通院中の患者64例(米国) 方法痛みに関する知識や自己管理、疼痛コントロールについて、個別教育とコーチングセッション(約20分)を行った。セッションには、1患者の痛みやオピオイドについての認識を確認、2誤解に対する教育、3WHOの疼痛コントロールガイドラインに関する説明、4治療目標を確認、5目標に到達するための方法を具体的にすることが含まれている。結果介入群では、対照群と比較して2 週間後の痛みの平均の強さが改善した(グラフで示されており数値の記載 はない,p=0.014)。痛みによる障害、痛みの頻度、痛みの知識に関しては、群間差はみられなかった。