p.192 抽出テキスト
オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、抗精神病薬は、プラセボに比較してせん妄を改善するか? オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、抗精神病薬は、せん妄を改善する。オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、抗精神病薬を投与する。2B (弱い推奨、低いエビデンスレベル) 臨床疑問37 推 奨 オピオイドが投与され、せん妄が発現した患者に対して、行うべき評価は何か? せん妄を発現する他の要因を鑑別し、治療を検討する。 がん患者のせん妄の原因として、薬物(ベンゾジアゼピン系薬剤、コルチコステロイド、抗うつ薬など)、中枢神経系の病変、電解質異常(高カルシウム血症、低ナトリウム血症など)、高アンモニア血症、脱水、感染症、低酸素血症などがある。このうち、薬物、高カルシウム血症、脱水によるせん妄は可逆性が高いので、治療する価値が高い。ビタミンB 群欠乏、内分泌疾患は、がん患者における頻度は少ないと考えられるが、原因治療により改善する可能性がある。具体的には、投与薬物を確認し、せん妄の発現や悪化との時間関係を確認する。また、神経学的所見など理学所見をとり、血液検査(補正カルシウム値を含む)、頭部画像検査を検討することにより、主要なせん妄の原因を鑑別することができる。オピオイドが原因と考えられる場合は、十分な鎮痛効果が得られていれば、鎮痛が得られる範囲でオピオイドの減量を検討する。鎮痛効果が不十分であれば非オピオイド鎮痛薬・神経ブロック・放射線治療など他の鎮痛手段を加えてオピオイドを減量できるかを検討する。モルヒネが投与されている場合、腎機能障害が生じるとモルヒネの投与量は同一でもモルヒネの代謝産物が蓄積することにより眠気を発現することがある。 既存のガイドラインとの整合性NCCNのガイドラインでは、オピオイド以外の原因を鑑別すること、オピオイドの投与量を減らすために非オピオイド鎮痛薬を考慮することを推奨している。EAPCのガイドライン(2001b)では、最初の対処として、中枢神経系の病変、脱水、高カルシウム血症、低ナトリウム血症、肝機能障害、腎機能障害、低酸素血症、感染症、薬物によるものかを鑑別すること、オピオイドを減量することを推奨している。痛みがある場合には、非オピオイド鎮痛薬の追加、鎮痛補助薬の追加、痛みの原因となる疾患への治療、神経ブロックなどによりオピオイドの投与量を減量することを推奨している。 臨床疑問36 推 奨 解 説