p.185 抽出テキスト
を用いた2 例は,病状の進行で死亡(2 例のうち1 例はEDSS 7.0 の時点で移植を施行),また非血縁者ドナーを用いた1 例は,移植関連死を認めた.上記の前処置,使用した造血幹細胞の違いが合併症,有害事象,移植関連死の頻度に影響している可能性はあると考える.成人症例に対する臍帯血移植の実施数は少ないものの,成人症例に対しては,移植関連死の報告例がある.予後の良くない例もあり,慎重に考慮する方が良いと考える. エビデンスとなった文献1) Hitomi T, Mezaki T, Tomimoto H, et al. Long-term effect of bone marrow transplantation in adult-onset adrenoleukodystrophy. Eur J Neurol 2005; 12: 807-810. 2) Kühl JS, Suarez F, Gillett GT, et al. Long-term outcomes of allogeneic haematopoietic stem cell transplantation for adult cerebral X-linked adrenoleukodystrophy. Brain 2017; 140: 953-966. 3) Waldhüter N, Köhler W, Hemmati PG, et al. Allogeneic hematopoietic stem cell transplantation with myeloablative conditioning for adult cerebral X-linked adrenoleukodystrophy. J Inherit Metab Dis 2019; 42: 313-324. 4) Matsukawa T, Yamamoto T, Honda A, et al. Clinical efficacy of haematopoietic stem cell transplantation for adult adrenoleukodystrophy. Brain Commun 2020; 2: fcz048. エビデンスの確実性:上記4 つの報告のバイアスリスクは高いと考えられた.それぞれの研究で,介入方法はいずれもHSCT で,いずれもアウトカムの記載はあり,対象患者は上記のように一部小脳・脳幹型を含む結果であった.以上より,非直接性は中 / 疑いと考えられた.生存率,神経学的予後,ADL,移植関連死については,全ての報告において介入による説明できない生存率の差は低いと考え,非一貫性はなしとした.合併症,有害事象については,各論文でばらつきがあり,深刻な非一貫性があるとした.生存,神経症状の進行停止,合併症,有害事象のアウトカムのエビデンスの質は「中」であり,神経学的予後の改善,ADL の改善,移植関連死のアウトカムのエビデンスの質は「弱」とした.特に生存,神経症状の進行停止に対する効果は大きく,これらを総合してエビデンス総体の確実性は「中」とした.利益と害,負担,コストの判定:HSCT により,生存率の上昇,神経症状の進行停止を認め,無治療と比較し益は大きい.移植関連死は少なく,特に国内からの報告では重度の合併症は少なく害は小さいと判断した.サブグループに関する検討事項特になし実施にかかわる検討事項造血幹細胞が十分量投与されているかを確認する.特に無菌室でのinfection control ができているか確認する.監視と評価前処置,HSCT 後の,合併症,有害事象,生着の有無を評価する必要がある.生着を認めない場合は,再度HSCT をするかの検討を行う必要がある.また,移植後の神経所見,ADL,画像検査の評価も必要と考える.実施経験の豊富な施設に前処置などの方法を十分に相談のうえで行うことが望ましいと考える.発症早期に施行した場合はHSCT の成績も良いことから,早期に大脳型を検出するために慎重に神経所見,頭部MRI の経過観察をすることが重要である.研究上の優先事項本邦からの報告にある,骨髄非破壊的前処置,骨髄を造血幹細胞として使用した場合は,移植関連死がなく,合併症,有害事象が少ないため,前処置,使用する幹細胞の種類によって,移植関連死,合併症,有害事象の頻度が異なるかが,今後検討すべき課題と考える.出典 :Schünemann H, Broźek J, Guyatt G, Oxman A, editors. GRADE handbook for grading quality of evidence and strength of recommendations. Updated October 2013. The GRADE Working Group, 2013. Available from guidelinedevelopment.org/ handbook. より作成