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p.184 抽出テキスト

結論推奨成人大脳型に対する造血幹細胞移植(HSCT)は,発症早期に施行することで,神経症状の進行停止を認め,生存率を向上させるため,発症早期に施行することを推奨する. (GRADE 1B.推奨の強さ「強い推奨」/ エビデンスの確実性「中」)付帯事項:早期の成人大脳型に対するHSCT により,生存率の向上,神経症状の進行停止を認めるが,移植関連死は少ない.移植関連死,重度の合併症は,前処置,使用する幹細胞によって頻度が異なる可能性がある.正当性疑問(CQ):成人大脳型に対する造血幹細胞移植は有効か? 患者(P):成人大脳型副腎白質ジストロフィー,介入(I): HSCT,対照(C):無治療アウトカム,(O):1)生存,2)神経学的予後の改善,3)神経症状の進行停止,4)ADLの改善,5)HSCT の合併症,有害事象,6)移植関連死エビデンスの要約:成人大脳型副腎白質ジストロフィーに対するHSCT の生存率,神経学的予後,ADL,合併症,有害事象,移植関連死を検討した報告は4 編あり1-4),そのうち,1 つの報告は,対照群がある前向き観察研究であるが4),症例群と対照群でマッチング,また,盲検化はしていない.別の2 つの報告は,症例群のみの後ろ向き観察研究で(この2 つの報告のうち8 症例は同一症例であった) 2, 3),残りの1 つの報告は1症例の症例報告であった1).対象患者はいずれの報告でもHSCT 時は18 歳以上の症例,対照群がある前向き観察研究の報告では,12 例中,4 例が小脳・脳幹型に対してのHSCT であり,未治療群8 例中1 例が小脳・脳幹型であった4).HSCT を施行した対象患者のExpanded disability status scale(EDSS)は,1 例を除いて,7.0 点以下であり,副腎白質ジストロフィー症例で頭部MRI 上白質病変の広がりを示すLoes score は14 点以下であった. 4 編の報告を併せると,HSCT 後の生存率については,34 症例中26 症例(76.5%)が生存しており,一方で,対照群では,8 症例中2 症例(25%)の生存にとどまった.移植関連または病状の進行で死亡した8 例の内,移植時EDSS が6 点以上の症例は5 例(62.5%)である一方,移植後も生存していた26 例のうち,移植時EDSS が6 点以上の症例は8 例(30.8%)であった.神経症状の推移に関しては,34 症例中24 症例(70.6%)で神経症状の進行停止を認め,12 症例(35.3%)で部分的ではあるが神経症状の改善を認めている.一方で,対照群では,8 症例の中で,神経症状の進行停止を認めた症例は存在しなかった.ADL については,34 症例中9 症例(26.5%)でHSCT 後,ADL の改善を認めている.一方で,対照群では,ADL の改善を認めた症例は存在しなかった.以上より,発症早期に成人大脳型にHSCT をすることで,生存率は向上し,神経症状の進行停止を認め,神経所見の部分的な改善,ADL の改善を認める症例も一部存在すると考える. HSCT 後の合併症,有害事象については,34 症例中25 症例(73.5%)でHSCT 後,なんらかの合併症・有害事象を認めている.欧州からの1 報では,生命を脅かす,または,致死的な感染症が,14 例中6 例(42.9%) 2),別の1 報では,致死的な感染症を,15 例中3 例(20%)で認めた3).一方で,本邦からの報告では1, 4),生命を脅かす,または,致死的な感染症の報告は13 例いずれにおいても認めなかった.移植関連死については,34 症例中4 症例(11.8%)でHSCT 後,移植関連死を認めている.移植関連死は,欧州からの報告においてのみ報告されている.欧州からの報告では,臍帯血移植を施行された2 症例を除いていずれも骨髄破壊的前処置がなされている一方で,本邦からの報告ではいずれも骨髄非破壊的前処置がなされている.造血幹細胞として,欧州からの報告では

2, 3),21 例中2 例で臍帯血,4 例で末梢血幹細胞,15 例で骨髄を用いており,一方で,本邦からの報告では

1, 4),13 例いずれも造血幹細胞として骨髄を用いている.特に造血幹細胞として臍帯血を用いた2 例中1例(50.0%),末梢血幹細胞を用いた4 例中2 例(50.0%)が移植関連死を起こしている.臍帯血を用いて移植関連死を起こした症例は,移植後,重度の行動変化が生じた.臍帯血を用いた残りの1 例は,移植後,生着が確認されるも,その後キメリズム解析でドナー細胞は1% 以下となり,重度の認知機能低下,運動機能低下を認め,3 年後に病状の進行で死亡している.末梢血幹細胞を用いて移植関連死を起こした2 症例は,移植後寝たきりとなり,重度の認知機能低下を認めている.末梢血幹細胞を用いた残りの2 症例は,移植後,運動機能は安定,認知機能は,安定,または改善を認めている.骨髄を用いた症例のうち,血縁者ドナーは6例,非血縁者ドナーは24 例で,grade II 以上の急性GVHD を生じた症例は,血縁者ドナーでは認めず,非血縁者ドナーでは2 例認めたが,他の症例は,grade I のみ,または急性GVHD を認めなかった.血縁者ドナー