p.35 抽出テキスト
リスク・患者評価 3 のリスクスコアをそれぞれ比較検討し,有用性が期待できるリスクスコアを指摘している. Allen らの解析では造影剤使用量をリスクファクターに含まなくてもスコアの有用性低下は認めず59),ベッドサイドにおけるCIN 予測や補液によるCIN 予防を考慮すると術前診断可能なリスク評価になっている. Brown らは,110,000 例のCAG・PCI コホートを用いて,造影剤使用量をリスクファクターとして含まない術前診断可能なリスクスコアを検討した.このリスクスコアは20,800 例の異なるコホートで外的妥当性が確認されており,AKI 発症に対するC—statistics は0.74(95%CI 0.74~0.75)であり有用なリスクスコアと考えられる60).また,Tsai らは,NCDR Cath/PCI (National Cardiovascular Data Registry Cath—PCI)のコホートを用いて,90,500 例のPCI 患者をderivation コホートとvalidation コホートに分け,新たなリスクスコアを作成した(表3)61).この検討もBrown らと同様に造影剤使用量をリスクファクターとして含んでおらず,術前診断可能である.CIN 発症に対するC—statistics は0.71(95%CI 0.71~0.72)であり,有用なリスクスコアと考えられる.さらに,このリスクスコアはわが国のJCD—KiCS(Japan Cardiovascular Studied)レジストリーを用いて,多施設における11,000 例のPCI 患者で検討された62).CIN 発症に対するC—statistics は0.76 であり,calibration plot における検証においても有用性が支持された.ただし,Tsai らの検討とJCD—KiCS の検討では,PCI 患者を対象にしているため, CAG 検査に適応できるかは検証されていない.今後リスクスコアが臨床の現場に定着するためには,複数の施設においてスコアの有用性(外的妥当性)が確認される必要があり,さらにリスクスコアが簡便に算出できるツールの普及も必要であると考えられる58). CQ3—12 片腎はCIN 発症のリスクを増加させるか? ▶回答 片腎が,両腎と比してCIN 発症リスクを増加させるというエビデンスは明らかではない. 背 景 片腎は,片側無形成,片腎摘出(腎癌や腎移植ドナー),腎移植レシピエントで遭遇する.片腎患者における腎機能は,両腎患者の腎機能に比して低下傾向にあることから,CIN 発症のリスクファクターとなりうると考えられてきた63).American College of Radiology による造影剤使用マニュアルには,過去の報告とエキスパートオピニオンを取りまとめて片腎や移植腎はCIN のリスクとなりうると記載されている64). 解 説 CQ3—12 腎移植におけるドナーまたはレシピエント患者,悪性腫瘍などを理由に片腎を摘出した患者の片腎は,両腎と比較して腎機能低下をきたすことからCIN 発症のリスクファクターとして考えられてきた.しかし,片腎そのものがCIN 発症のリスクを増加させるか,を検討するために エビデンスレベルIVa推奨グレードB (Minds 2017)エビデンスの強さC推奨の強さ なし