p.32 抽出テキスト
と報告している38).From らは,CT,CT 血管造影,血管造影,静脈造影,心臓カテーテル検査を対象とし,経静脈的造影剤投与が53%含まれる検討において,CIN をきたした809 例における1 年後死亡率は31.8%であるのに対し,CIN をきたさなかった2,427 例の1 年後死亡率は22.6%と有意に少ないことを報告している39).Ioxaglete を使用した報告であるが,Gruberg らはPCI を施行した439 例の検討において,CIN をきたした161 例における1 年後の累積死亡率は37.7%であるのに対し,CIN をきたさなかった278 例の1 年後の累積死亡率は19.4%と,有意に少なかったことを報告している40).またSenoo らは,緊急PCI を施行した338 例において,CIN をきたした94 例における院内死亡率は9.4%であるが,CIN をきたさなかった244 例の院内死亡率は3.3%と有意に少ないことを報告している41).一般に,経静脈的造影剤投与によるCIN 発症は経動脈的投与より少ないとされているが,経静脈的造影剤投与によるCIN の発症と生命予後についての報告は少なく,コンセンサスは得られていない48,49).経静脈的造影剤投与によるCIN の発症とその後の生命予後について,Weisbord らは,eGFR 60 mL/min/1.73 m2未満で造影CT を施行した421 例において,CIN と30 日死亡に有意な関連は認められなかったと報告している50).また,Matsushima らは,造影剤を経静脈的に投与した1,184 例の外傷患者において,CIN をきたした78 例における院内死亡率は9.0%と,CIN をきたさなかった群における院内死亡率3.2%より有意に高かったが,ロジスティック回帰解析では院内死亡とCIN に有意な相関は認められなかったと報告している51).Rashid らは,ICU にて造影CT を施行した139 例において,CIN をきたした16 例におけるICU 死亡率は31%,院内死亡率は50%であり,CIN をきたさなかった123 例におけるICU 死亡率13%,および院内死亡率26%よりも高い傾向であったが,それぞれp=0.068,p=0.074 と統計学的な差は認められなかったとしている52).近年McDonald らは,6,902 例を対象とした大規模後ろ向き観察研究を行い,造影CT 撮影群と単純CT 撮影群でCIN 発症,30 日目の透析導入と死亡について検討している.propensity score(1:1)matching にて背景因子を調整し,CKD ステージG3(2,440例)とCKD ステージG4~5(838 例)のsubgroup に分けて検討した.その結果,いずれのsubgroup でも造影CT 群と単純CT 群で少なくとも短期生命予後に有意差は認めなかった53).経静脈的造影剤投与によるCIN 発症が生命予後を悪化させるかは明らかではない.このように,CIN と生命予後との関連については多数の報告が認められるものの,現在のところCIN を合併することで生命予後が悪くなる,すなわち予後規定因子であるか,あるいは生命予後の悪い患者がCIN を合併する,すなわち予後予測因子なのかは,依然明らかになっていない. CQ3—10 腹膜透析患者への造影剤投与は残存腎機能低下のリスクを増加させるか? ▶回答 腹膜透析患者への造影剤投与は残存腎機能低下のリスクとなる可能性があるが,尿量が十分保たれていれば,造影剤100 mL 程度では残存腎機能に影響を与えないという報告もある.エビデンスレベルIVa 推奨グレード 該当せず