p.31 抽出テキスト
リスク・患者評価 3 機能が低下した場合,ビグアナイド系糖尿病薬の腎排泄が減少し,乳酸アシドーシスを起こす危険性がある.乳酸アシドーシスをきたしやすい病態を合併しているビグアナイド系糖尿病薬服用患者にヨード造影剤を投与した後,急激な腎機能の悪化をきたし,乳酸アシドーシスに至った症例28,29)や,過去の症例をレビューしたケースシリーズ30~32)が報告されている.しかしながら,PCI を受けた2 型糖尿病372 例のうちメトホルミン服用者145 例のCIN 発症は23 例(16%)で,乳酸アシドーシスを発症した症例はいなかった33).欧米のガイドライン34~36)では,いずれにおいても腎機能などに応じた対応指針を示しており,具体的な対応法は異なるものの,腎機能が正常である場合,ヨード造影剤を用いた検査の前にビグアナイド系糖尿病薬の休薬を勧めるものはほとんどない.わが国のビグアナイド系糖尿病薬の添付文書の「重要な基本的注意」2に,「ヨード造影剤を用いて検査を行う患者においては,本剤の併用により乳酸アシドーシスを起こすことがあるので,検査前は本剤の投与を一時的に中止する(ただし,緊急に検査を行う必要がある場合を除く).中等度以上の腎機能障害で禁忌」,となっている.また,「ヨード造影剤投与後48 時間は本剤の投与を再開しない.なお,投与再開時には,患者の状態に注意する」と記載されている.使用のほとんどはメトホルミンであり,「ビグアナイド薬の適正使用に関する委員会」の作成による「メトホルミンの適正使用に関するrecommendation(2016 年5 月12 日改訂)」〔URL: http://www.fa.kyorin.co.jp/jds/uploads/recommendation_metformin.pdf(2018 年2 月現在)〕において,乳酸アシドーシスの症例に認められた特徴の1 つに腎機能障害患者があり,recommendation のなかでヨード造影剤の併用による腎機能障害の急性増悪がとりあげられ,注意喚起がなされている.また,eGFR<30 mL/min/1.73 m2は禁忌とされている.これらを勘案し,本ガイドラインではヨード造影剤を投与する場合には,緊急検査時を除きビグアナイド系糖尿病薬を一時的に休薬するなど,適切な処置を行うことを推奨する. CQ3—9 CIN の発症はCKD 患者の生命予後を悪化させるか? ▶回答 CIN の発症はCKD 患者の生命予後と関連する.CIN を発症したCKD 患者の予後は不良であるが,CIN が予後規定因子であるのか,予後予測因子であるのかは明らかではない. 背 景 CIN のリスクファクターとしては,高齢,CKD,糖尿病(性)腎症,脱水状態,うっ血性心不全,低血圧,腎毒性を有する薬剤の使用などがあげられる.なかでもCKD は特に重要なリスクファクターであるとされる.また,AKIの発症は生命予後に関連することが報告されている. 解 説 CQ3—9 CIN の多くは一過性であり,腎機能障害は通常回復することが知られているが,多くの報告においてCIN の発症とその後の生命予後に関連があるとされている37~47). Goldenberg らは,CAG を施行した78 例のCKD 患者において,可逆的なAKI を起こした エビデンスレベルIVa 推奨グレード 該当せず