p.29 抽出テキスト
リスク・患者評価 3 解 説 CQ3—5,CQ3—6 CQ3—5造影CT 10,121 例に対して単純CT 10,121 例をpropensity スコアマッチしたコホート研究でCT 施行前SCr 値が1.6 mg/dL を超えると,CT 後のAKI のリスクのOR は1.45,95%CI 1.11~ 1.89,p=0.007 となり,造影剤はCT 後AKI 発症に関連はなかった(p=0.42)19).それに対して利尿薬の服用は造影剤使用の有無に関係なく,CT 後AKI 発症リスクのオッズ比は2.25(95% CI 2.00~2.53,p<0.001)であった19).また,待機的PCI 症例を対象にフロセミドもしくはカプトプリルを服用した240 例をPCI 施行36 時間前からカプトプリル中断60 例,カプトプリル継続60 例,PCI 施行36 時間前からフロセミド中断60 例,フロセミド服用継続60 例の4 群に割付けてCIN 発症率を検証した報告がある20).CIN 発症率はフロセミド中断群が高い傾向であったが有意差はなかった(カプトプリル中断群3.3%,カプトプリル継続群3.3%,フロセミド中断群3.3%,フロセミド継続群1.6%).以上から,利尿薬服用継続が造影剤の経静脈的および経動脈的投与後のCIN 発症リスクを増加させるかは明らかではない. CQ3—6造影剤使用時にループ利尿薬を予防的に投与することにより,CIN の発症が増加することが認められている21).脱水がなくともループ利尿薬はCIN を起こしやすくなる.ループ利尿薬の使用に際して0.45%食塩液で体液量を維持していても,ループ利尿薬の投与ではCIN の発症が有意に高かったことも報告されている22).近年の形成術を含む冠動脈造影の観察研究では,周術期のフロセミドの使用はCIN の独立したリスクファクターであった23).なお,尿量と等量の輸液を行う特殊な装置を用いて,尿量を時間あたり300 mL 確保するように生理食塩液による輸液とフロセミドの併用療法(Renal Guard 療法)がCIN の発症を有意に抑えることが報告されている.(コラム参照). Renal Guard 療法 造影剤を使用する処置中に体液の減少を伴わずに尿量を確保するためのモニタリングシステムが近年開発された.Renal Guard システムと言われるもので,輸液注入量,カテーテルからの尿量,体重変化をモニターしアラートシステムが備わっている.このシステムを用いて,Renal Guard 療法は,心カテやTAVR(経カテーテル的大動脈弁置換術)などの処置1 時間前にフロセミド(0.25 mg/kg)を経静脈的投与し処置中には300 mL/時以上の尿量を確保して,処置後も4 時間持続させる.輸液には生理食塩液,利尿確保には経静脈的フロセミド投与を用いて体液過多や体液減少を起こさないように設計されている.4 報のRCT に対するメタ解析では,Renal Guard 療法はCIN 発症を抑制し(OR 0.31,95%CI 0.19~0.50),腎代替療法(RRT)導入も抑えた(OR 0.19,95%CI 0.05~0.76)24). Column