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この版は旧版です。新版があります: JSICM 2024 日本版敗血症診療ガイドライン2024(J-SSCG2024)本編 新版を読む
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p.64 抽出テキスト

CQ4-1:経験的抗菌薬はどのようにして選択す

るか?

Answer:疑わしい感染巣ごとに,患者背景,疫学や迅速微生物診断法に基づいて原因微生物を推定し,臓器移行性と耐性菌の可能性も考慮して選択する方法がある(Table 4-1-1 参照)(BQ に対する情報提示)。

(1)背景および本CQ の重要度

適切な経験的抗菌薬治療の選択は,適切な外科的感染巣コントロールと並んで敗血症の根本治療であり,患者予後に関連する重要な治療介入である 1)。経験的抗菌薬は原因微生物の想定のもとに選択し,原因微生物が確定した後には標的抗菌薬へ最適化されることが前提の治療であり,最初の段階でいかに原因微生物を想定するかが重要となる 2, 3)

抗菌薬選択に関する原則は,敗血症においても一般的な感染症診療と同様であるが,一刻を争う敗血症診療では抗菌薬選択に必要な情報収集に割ける時間に制約があり困難を伴う。個別の状況を考慮せずに画一的な第1 選択薬を決めておくと迅速な投与はしやすくなるが,個々の患者にとっては不十分な,もしくは過剰な治療になるリスクを伴う。

これまでの国際版および日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG)では,適切な経験的抗菌薬の選択は重要であるという記載はあるものの,具体的な選択については各感染症別のガイドラインに委ねる形で記載していないものが多かった 2-5)。しかし,各感染症別ガイドラインの主な対象は一般病棟であり,敗血症に関する記載がないものが多い 6-14)。

そこで,敗血症患者に対する経験的抗菌薬の選択の方法について,CQ として設定し,各感染症別の選択肢一覧とともに示すことは,臨床現場の意思決定にとって重要と考えた。選択薬リスト作成にあたっては,2012 年のJ-SSCG に示された類似の表と,各感染症に関するガイドラインおよび抗菌薬感受性試験のための標準検査法を参照して作成した 4, 5, 15)。

(2)解説

経験的抗菌薬の選択は,疑われる感染巣ごとに,患者背景,疫学に基づいて原因微生物を想定し,利用可能な範囲で迅速微生物診断法を用いてその確認をしたうえで,臓器移行性やスペクトラム(耐性菌の可能性を含む),および臨床的なエビデンスを踏まえて行う。

Table 4-1-1(各感染症別の経験的治療薬)は,頻度の高い感染巣と患者背景の組み合わせごとに,敗血症を前提とした経験的抗菌薬の選択肢リストを専門家の

意見として示した。本表は,個別の状況や地域の疫学などの情報を加味し,各地域・施設における抗菌薬ガイドラインと共に利用することで,意思決定の参考になることを想定している。また,各地域・施設における抗菌薬ガイドラインが存在しなければ,本表をベースとして作成することも可能である。

原因微生物は,感染巣ごとの疫学により想定される。したがって,感染巣の同定は,感染巣からの検体採取や外科的ドレナージのためだけではなく,抗菌薬の選択のために重要である。敗血症の原因になりうる感染巣は,本邦の2 つの疫学研究(2010~11 年:15施設,2016~17 年:59 施設)によると,呼吸器感染症,腹腔内感染症,尿路感染症,軟部組織感染症が多く,これらで約90% を占めていた 16, 17)。この傾向は海外の複数の研究でも同様の結果であった 18-22)。一方,敗血症患者の約1 / 6 は感染巣が同定されないとも報告されている 18-22)。感染巣の特異的な所見を認めない場合に考慮すべき感染症として,感染巣はあるが特異的な所見を捉えにくい感染症(感染性心内膜炎,カテーテル関連血流感染症など),感染巣を形成しない/ 不明の全身感染症(劇症型脾摘後感染症,電撃性紫斑病,リケッチア感染症,感染巣のない発熱性好中球減少症など)がある。人工物関連感染症(カテーテル関連血流感染症,人工弁心内膜炎,脳室腹腔シャント関連髄膜炎,人工関節感染症など)は特異的所見が得られにくいため注意する 6-9)。

原因微生物は,患者背景によっても想定される。1外的因子としての患者周囲環境からの曝露歴(医療関連,渡航歴を含む)と,2内的因子としての患者自身の状態(年齢,性別,基礎疾患を含む)の2 つがある。抗菌薬選択の際にどの患者背景因子で分類するかは,感染巣ごとに異なっている。一般的に,市中感染症は医療関連感染症と異なる微生物が原因になることが多く,緑膿菌は例外を除いて市中感染症でルーチンにカバーする必要はない。医療関連感染症の危険因子となる曝露には,侵襲的手技またはデバイス(手術,移植,血管内カテーテル,尿道留置カテーテル,気管チューブ,経管栄養チューブ,その他の人工物)や,抗菌薬治療歴がある。海外渡航歴のある敗血症患者では,マラリアや髄膜炎菌感染症,ウイルス性出血熱,レプトスピラ症,リケッチア症などの全身性感染症や,薬剤耐性菌による感染症を考慮する必要がある 23, 24)。国内でもダニ媒介感染症流行地への旅行歴があれば,リケッチア感染症(日本紅斑熱,ツツガムシ病)や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)による

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