GL検索 v0.1.0
この版は旧版です。新版があります: JSICM 2024 日本版敗血症診療ガイドライン2024(J-SSCG2024)本編 新版を読む
画像は 58 ページを描画したものです
page 58

p.58 抽出テキスト

CQ3-8:膿胸による敗血症患者に対して,侵襲

的ドレナージ術による感染源コントロールを行うか?

Answer:膿胸による敗血症患者に対して,可及的速やかに開胸ドレナージまたは経皮的胸腔ドレナージによる感染源のコントロールを行うことを弱く推奨する(エキスパートコンセンサス:エビデンス不十分)。

(1)背景および本CQ の重要度

膿胸は感染源のコントロールが必要な病態であり,開胸ドレナージ,または経皮的胸腔ドレナージによる感染源のコントロールが行われる。臨床現場においては,タイミングや処置法について最終的なコンセンサスを得ていない。また,感染源のコントロール処置をいつ行うべきか,適切な方法は何かについて科学的根拠を明示しているガイドラインはない。侵襲的処置(開胸・経皮的ドレナージ術)の有効性,有害性の評価は定まっておらず,侵襲的処置に関する本CQ の優先度は高いと考える。

(2)PICO

P  (患者):膿胸,気管支断端瘻,胸膜炎,肺炎随伴

性胸水を伴う敗血症患者I  (介入):感染源のコントロール(開胸・経皮的ド

レナージ術)を行うC  (対照):感染源のコントロール(開胸・経皮的ド

レナージ術)を行わないO  (アウトカム):28 日死亡,病院死亡,ICU 滞在

日数,病院滞在日数,感染源のコントロールに伴う合併症

(3)エビデンスの要約

システマティックレビューの結果,PICO に合致するランダム化比較試験(RCT)は存在しないことが確認された。

(4)益と害のバランス望ましい効果:

被包化を伴った膿胸は通常の抗菌薬治療では改善しないため,原因の解消を行わなければ,敗血症から回復する可能性は低いと考えられる。したがって,迅速な感染源のコントロールを行うことは患者に益する可能性が高いと考える。望ましくない効果:

侵襲的な処置に伴う害として,出血や肺損傷,創部やドレーンの痛みなどが考えられる。開胸術は経皮的

ドレナージ術に比して侵襲が大きく,望ましくない効果の程度は大きいと考えられる。益と害のバランス:

PICO に合致するRCT は存在せず,効果のバランスは不明であるが,膿胸による敗血症では,開胸・経皮的ドレナージ術を行って得られる利益と,出血や肺損傷などの合併症を考慮しても,おそらく益が害を上回ると考えられる。

(5)アウトカム全般に関するエビデンスの確実性

システマティックレビューを行ったが,PICO に合致するRCT は存在しなかった。

(6)価値観

一般的に,死亡が低下することについて患者および患者家族は重視すると考えられ,不確実性やばらつきはないと思われる。

(7)容認性

本介入(開胸・経皮的ドレナージ術)は保険診療で認められた標準的治療法であり,原因の解消を行わなければ,敗血症から回復する可能性は低く,迅速な感染源のコントロールを行うことは患者にとって益が害を上回る可能性が高いと考えることから,容認性はおそらく妥当なものと考える。組織の癒着などによりドレナージの経路に実質臓器が存在し,経皮的ドレナージが困難な場合には,開胸ドレナージも考慮して迅速に施行可能な施設への移送などの負担が生じる。

(8)実行可能性

開胸・経皮的ドレナージ術の実行可能性は高い。施設により実行できない場合は,実行可能な施設への移送により実行可能と考えられる。

(9)判断の要約(Table 3-8-1)

(10)推奨グレーディング決定の工程

修正RAND 法を用いた投票によって,中央値8,見解不一致指数0.014 の結果となり,委員会で採択された(7 点以上:95.8%)。

(11)関連する他の診療ガイドラインにおける推奨

英国胸部疾患学会ガイドライン 1)や米国胸部疾患学会ガイドライン 2)では,膿胸の患者には経皮的胸腔ドレナージを施行し,胸部X 線や全身状態を観察

-S 56-