p.52 抽出テキスト
CQ3-5:尿管閉塞を原因とする急性腎盂腎炎に よる敗血症患者に対して,侵襲的ドレナージ術による感染源コントロールを行うか? Answer:尿管閉塞を原因とする急性腎盂腎炎による敗血症患者に対して,可及的速やかに経尿道的尿管ステント留置術あるいは経皮的腎ろう造設術による感染源のコントロールを行うことを弱く推奨する(エキスパートコンセンサス:エビデンス不十分)。 (1)背景および本CQ の重要度 尿管閉塞に起因する急性腎盂腎炎は感染源のコントロールが必要な疾患である。尿路感染の兆候を伴う尿管閉塞は泌尿器科領域における緊急対応を要する病態であり,尿管ステント留置術・腎ろう造設術などを用いた緊急の減圧術は,感染を伴う水腎症に起因するさらなる合併症を予防する目的でしばしば必要な処置である。したがって,尿管閉塞を原因とする急性腎盂腎炎に対し,感染源コントロールを行うか否かは重要な問題と考えられる。 (2)PICO P (患者):尿管閉塞に起因する急性腎盂腎炎による 敗血症患者I (介入):感染源のコントロール(尿管ステント留 置術・腎ろう造設術)を行うC (対照):感染源のコントロール(尿管ステント留 置術・腎ろう造設術)を行わないO (アウトカム):28 日死亡,病院死亡,ICU 滞在 日数,病院滞在日数,感染源のコントロールに伴う合併症 (3)エビデンスの要約 システマティックレビューの結果,PICO に合致するランダム化比較試験(RCT)は存在しないことが確認された。 (4)益と害のバランス望ましい効果: 尿管閉塞に起因する急性腎盂腎炎は,経尿道的尿管ステント留置術あるいは経皮的腎ろう造設術を行い,原因の解消を行わなければ,敗血症から回復する可能性は低く,迅速な感染源のコントロールを行うことは患者に益する可能性が高いと考える。望ましくない効果: 侵襲的な処置に伴う害として,出血,臓器損傷や後腹膜(腔)への感染の波及などが考えられる。 益と害のバランス: PICO に合致するRCT は存在せず,効果のバランスは不明であるが,尿管閉塞に起因する急性腎盂腎炎は経尿道的尿管ステント留置術あるいは経皮的腎ろう造設術を行って得られる利益と,出血などの合併症や専門施設への移送費用などの害を考慮しても益が害を上回ると考えられる。 (5)アウトカム全般に関するエビデンスの確実性 システマティックレビューを行ったが,PICO に合致するRCT は存在しなかった。 (6)価値観 一般的に,死亡が低下することについて患者・家族は重視すると考えられ,不確実性やばらつきはないと考える。 (7)容認性 本介入(経尿道的尿管ステント留置術あるいは経皮的腎ろう造設術)は保険診療で認められた標準的治療法であり,原因の解消を行わなければ,敗血症から回復する可能性は低く,迅速な感染源のコントロールを行うことは患者にとって益が害を上回る可能性が高いと考えることから,容認性はおそらく妥当なものと考える。 (8)実行可能性 本介入(経尿道的尿管ステント留置術あるいは経皮的腎ろう造設術)は保険診療で認められた標準的治療法であるため,実効性は高いといえる。しかしながら,迅速に専門性のある処置(経尿道的尿管ステント留置術あるいは経皮的腎ろう造設術)を行うためには,施行可能な施設への移送などの負担が生じる可能性がある。 (9)判断の要約(Table 3-5-1) (10)推奨グレーディング決定の工程 修正RAND 法を用いた投票によって,中央値8,見解不一致指数0.164 の結果となり,委員会で採択された(7 点以上:95.8%)。 (11)関連する他の診療ガイドラインにおける推奨 米国泌尿器科学会ガイドライン 1)では,尿管閉塞に起因する腎盂腎炎や膿腎症において迅速な閉塞の解 -S 50-