p.47 抽出テキスト
CQ3-4-1:感染性膵壊死に対して,早期に侵襲的 なインターベンション治療による感染源のコントロールを行うか? Answer:感染性膵壊死に対して,早期に侵襲的なインターベンション治療による感染源のコントロールを行わないことを弱く推奨する(GRADE 2C:エビデンスの確実性 = 「低」)。 (1)背景および本CQ の重要度 壊死組織は感染の原因であり,早期介入が一般原則である。しかし,膵壊死はこの早期介入の一般原則が該当しない。また,低侵襲で効果的な感染源のコントロール方法に取り組んだランダム化比較試験(RCT)も行われていることから,本疾患の介入タイミングは重要臨床課題であると考える。 (2)PICO P (患者):重症感染性膵壊死患者I (介入):早期に侵襲的なインターベンション治療 による感染源のコントロールを行う(48~72 時間以内) C (対照):晩期に侵襲的なインターベンション治療 による感染源のコントロールを行う(発症から12 日後) O (アウトカム):死亡 (3)エビデンスの要約(Table 3-4-1-1) システマティックレビューの結果,PICO に合致した1 つのサンプル数の小さなRCT(早期介入25 例,晩期介入11 例)があることが確認された。死亡は早期介入56.0%,晩期介入27.3%,効果推定値はリスク差(RD)1,000 人あたり286 人多い(95% CI: 71 人少ない ~1,000 人多い)であり,介入群である早期介入は晩期介入に比べて生命転帰に関する望ましい効果を認めなかった。(4)益と害のバランス 望ましい効果: 1 つの小さなサンプル数の研究において,早期介入は晩期介入に比べて生命転帰に関する望ましい効果を認めなかった。なお,副作用や医療コストなどは検討されておらず,介入群の望ましい効果はわからない。望ましくない効果: 前述のように,死亡率は早期介入56.0%,晩期介入27.3%,効果推定値はRD 1,000 人あたり286 人多い(95% CI: 71 人少ない~1,000 人多い)であり,介入群である早期介入は,晩期介入に比べて望ましくない効果は大きい。益と害のバランス: 早期介入に比べて晩期介入の死亡率の低下が示されていることから,おそらく晩期介入の益が害を上回ると考えられる。 (5)アウトカム全般に関するエビデンスの確実性 1 つのサンプル数の小さなRCT があるが,治療法の比較のため隠蔽化はできておらず,95% CI が1.25をまたいでいるため「低」とした。 (6)価値観 各アウトカムにおける患者・家族の価値観に関するデータはない。一般的に,死亡アウトカムが低下することを患者・家族は重視すると考えられ,不確実性やばらつきはないと考える。 (7)容認性 晩期介入は入院期間の延長が予想されるが,早期介入に比べて死亡率の低下が示されていることから,患者・家族の個人の視点からおそらく益が害を上回ると考えられる。 (8)実行可能性 感染源のコントロール介入までの集中治療管理も重要であり,適切な施設での施行が求められる。 Table 3-4-1-1 エビデンスプロファイル -S 45-