p.42 抽出テキスト
CQ3-1:敗血症を疑う患者に対して,感染源検 索のために画像検査を行うか? Answer:感染源が明らかでない場合は,感染源検索のために画像検査を行う(Good Practice Statement)。 (1)背景および本CQ の重要度 早期の感染源のコントロールは,敗血症患者の転帰改善につながる重要な治療法である。そのため,敗血症を疑う患者に対して,コントロールが必要な感染源が存在するかどうかを早期に評価することは重要であり,その手段として画像検査を考慮する必要があると考え,本CQ の立案に至った。 (2)解説 感染源検索のための画像検査には,単純X 線検査,超音波検査,CT 検査,MRI 検査があり,部位により有用性の高い検査方法は異なる。以下に各臓器・疾患に特有と考えられる画像診断法について解説する(Table 3-1-1)。1頭頸部 脳膿瘍・髄膜脳炎:CT 検査はMRI 検査に比して緊急検査として施行しやすいため,先行して施行される場合が多い。造影MRI 検査は,膿瘍の被膜や周囲組織への炎症の波及を検出できるため最も推奨される画像検査である 1)。 頸部膿瘍(降下性縦隔炎):体表に近い頸部膿瘍は超音波検査にて検出可能であるが,深頸部の膿瘍の検出には限界があり,CT 検査が有用である。造影剤を用いたCT 検査は感染による液体貯留と血管などの構造物を明瞭に鑑別できるため推奨される検査である 2)。2胸部 膿胸:単純X 線検査,超音波検査は第1 選択の検査である。膿胸を疑う際,造影CT 検査は感染源のコ ントロールの実施や治療経過の評価を行うための指標として有用な検査である。 感染性心内膜炎:感染性心内膜炎の診断基準(Dukeの診断基準) 3)の2 大項目の1 つは心臓超音波検査所見であり,感染性心内膜炎を疑う場合は,全症例に対して経胸壁心臓超音波検査をfirst-line として実施する。経食道心臓超音波検査の感染性心内膜炎に対する診断精度は,経胸壁に比べ優れているため,必要例に経食道心臓超音波検査を追加することが推奨されている 4)。3腹部 腸管穿孔・腹膜炎:単純X 線検査,超音波検査は最初に施行される検査である。さらに評価が必要な場合は,引き続きCT 検査を行う。臓器や腸管の虚血の有無など詳細な評価が必要な場合は,造影CT 検査が推奨される(急性腹症診療ガイドライン2015 5))。 胆嚢炎・胆管炎:超音波検査,CT 検査は最も推奨される検査である。造影CT 検査では有用な所見を描出できる。またMRI / MRCP も画像検査の選択肢として推奨されている 6)。 閉塞性尿路感染症:超音波検査がfirst-line として実施すべき検査である。もし閉塞性尿路感染症を疑う所見を認めれば,閉塞の原因を精査するためにCT 検査を実施することが推奨されている 7)。4その他 壊死性軟部組織感染症:造影CT 検査は軟部組織の腫脹や軟部組織内の液体貯留を検出可能であり,施行すべき検査である。しかしながら,壊死性筋膜炎の確定診断を造影CT 検査のみでは行えない。壊死性筋膜炎の確定診断は,外科的に皮下組織・筋膜を試験開創し,筋膜・筋を直接観察することが必要である 8)。 画像検査は,最適な治療法の選択を可能にするとい Table 3-1-1 感染源のコントロールが必要な疾患と画像検査 主に想定される検査 単純X 線検査超音波検査CT 検査MRI 検査 頭頸部脳膿瘍・髄膜脳炎○造影○造影,FLAIR 像(脳炎) 頸部膿瘍(降下性縦隔炎) ○ ○造影胸 部膿胸○ ○ ○造影 感染性心内膜炎○*腹 部腸管穿孔・腹膜炎○ ○ ○造影 胆嚢炎・胆管炎○ ○造影○(MRI/MRCP)閉塞性尿路感染症○ ○ ○その他壊死性軟部組織感染症○造影*感染性心内膜炎の診断精度は経胸壁に比べ,経食道心臓超音波検査の方が優れている。 -S 40-