p.35 抽出テキスト
(11)関連する他の診療ガイドラインにおける推奨 市中肺炎,尿路感染,細菌性髄膜炎などのガイドラインにおいて,グラム染色の有用性,欠点に関して指摘されている。詳細は,(4)益と害のバランスに記載したとおりである。 (12)実施に関わる検討事項 検査前に抗菌薬を投与してしまった場合や,抗菌薬の投与を急ぐ場合,益と害のバランスが異なる可能性がある。 (13)今後の研究の可能性 グラム染色の有用性に関するRCT がないことは明らかであり,グラム染色を行うことによる生存率の改善や,選択した抗菌薬の有効性などに関する検証を行うRCT が必要である。 文 献 1) 西田修, 小倉裕司, 井上茂亮, 他: 日本版敗血症診療ガイドライン2016 作成特別委員会. 日本版敗血症診療ガイドライン2016. 日集中医誌. 2017; 24: S1-232. 2) 西田修, 小倉裕司, 井上茂亮, 他: 日本版敗血症診療ガイドライン2016 作成特別委員会. 日本版敗血症診療ガイドライン2016. 日救急医会誌. 2017; 28: S1-232. 3) Metlay JP, Waterer GW, Long AC, et al: Diagnosis and treatment of adults with community-acquired pneumonia. An official clinical practice guideline of the American thoracic society and infectious diseases society of America. Am J Respir Crit Care Med. 2019; 200: e45-67. 4) 山本新吾, 石川清仁, 速見浩士, 他: JAID / JSC 感染症治療ガイドライン2015―尿路感染症・男性性器感染症―. 日化療会誌. 2015; 64: 1-30. 5) 細菌性髄膜炎診療ガイドライン作成委員会: 細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014. 南江堂, 東京, 2014. CQ2-4-1:一般病棟あるいは救急外来において, 敗血症診断のバイオマーカー検査としてC 反応性蛋白(CRP),プロカルシトニン(PCT),プレセプシン(P-SEP),インターロイキン6(IL-6)の位置づけは? Answer:一般病棟あるいは救急外来において,敗血症を疑ったときのバイオマーカー検査の感度,特異度は,C R P では59%,79%,P C T では74%,81%, P-SEP では75%,74%,IL-6 では78%,78% であった。したがって,バイオマーカー単独による敗血症診断は一般的に困難と考えられ,その使用はいずれも全身状態観察などに加えた補助的な位置づけといえる(BQ に対する情報提示)。 (1)背景および本CQ の重要度 敗血症(Sepsis-3)の診断は,現在,“重篤な臓器障害を認める感染症”となっている。しかし,臨床上,感染症を疑うが確定診断に直ちには至らない場合,治療方法の選択に苦慮することも少なくない。このような場合に,バイオマーカーの利用可能性を確認する価値がある。バイオマーカーとしては,CRP,PCT, P-SEP,IL-6 の4 種類が用いられている。これらのバイオマーカーに関して,前回の日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG)2016 では,救急外来や一般病棟などの非重症患者において敗血症が疑われる場合,感染症診断の補助検査としてP-SEP またはPCT またはIL-6 を日常的には評価しないことを弱く推奨すると提言した 1, 2)。その後,バイオマーカーに関する数多くの報告がなされ,一般病棟あるいは救急外来における敗血症診断目的で4 種類のバイオマーカーを評価することが必要であると考え,本ガイドラインにおいても取り上げた。 (2) 本CQ がbackground question(BQ)となった経 緯本CQ は当初,『感染症診断にバイオマーカーとしてCRP,PCT,P-SEP,IL-6 のいずれを用いるか?』というGRADE に則ったCQ であった。しかし,感染症診断となると,対象疾患が非常に広範囲となるため,本ガイドラインの特性を鑑みて,全身状態に悪影響を及ぼすような重篤な病態である敗血症に焦点を置くこととなった。システマティックレビューはCQ2-4-2 と合わせて網羅的文献検索を行い,その抽出論文から「一般病棟あるいは救急外来部門」と「集中治療部門」に分けて診断精度研究のシステマティックレビューを -S 33-