p.29 抽出テキスト
CQ2:感染の診断 敗血症・敗血症性ショックの診療において,その原因となる感染症の診断は重要である。感染症の診断を行ううえで,まず検体の採取による病原微生物の同定が極めて重要であり,適切な治療にもつながる。病歴,身体所見,画像検査などから可及的速やかに感染巣を絞り込み,血液培養とともに推定感染部位から適切に培養検体を採取する必要がある。培養の中でも,血液培養は最も重要な検査であり,菌血症を引き起こしている病原微生物を同定する臨床的意義は大きい。血液培養の結果から,感染巣が判明する場合があり,不明であった感染巣を推測するうえで重要な情報が得られることもある。また,培養および抗菌薬の感受性検査の結果によりデエスカレーションを含む治療の最適化が可能である。しかしながら,血液を採取する方法やタイミングをまちがえると,菌のコンタミネーションや感受性に対して不正確な情報が得られる場合もあり,不必要な治療やコストの増加につながりかねない。血液培養に関しては,これまでも良質なエビデンスの有無にかかわらず重要であると記載されているが,血液を採取する方法やタイミングに関して依然として周知徹底されていないため,本ガイドラインでも取り上げることとした。そこで,CQ2-1 として「血液培養はいつ採取するか?」を掲げる。 また,敗血症性ショック患者では血液培養検査の陽性率は69% との報告があるが,発熱があるからといって血液培養検査を行っても陽性率は高くないため,血液培養には限界がある 1)。特に,尿路感染,肺炎,髄膜炎といった感染症によって生じた敗血症の場合,血 液培養だけで感染臓器および原因微生物を同定することは極めてむずかしい。多くのガイドラインでは,臨床像より感染源となっている可能性が否定できない部位から,検体をできる限り抗菌薬開始前に採取することは,予後を改善するというエビデンスはないが,エキスパートコンセンサスの立場で推奨されている。本ガイドラインでも血液培養以外の各種培養検査に関して述べることは極めて重要であると考え,CQ2-2 として「血液培養以外の培養検体は,いつ採取するか?」を掲げる。 臨床の現場では,血液培養の結果を待たずして抗菌薬を選択するが,抗菌薬を選択する際にグラム染色所見を参考にするというプラクティスは広く普及しており,病態生理の側面からも一定の妥当性があるといわれている 1)。また,グラム染色は簡便で迅速に施行することができ,しかも安価である。しかしながら,グラム染色所見のみで抗菌薬を選択すると,重症病態にもかかわらず不適切な抗微生物薬が選択されるリスクがある 2)。本ガイドラインでもグラム染色が有用であるか否かを述べることは極めて重要であると考え, CQ2-3 として「抗菌薬投与前のグラム染色は有用か?」 を掲げる。 さらに,感染症の診断に関して,バイオマーカー検査の有用性を確認する必要がある。敗血症の診断は, Sepsis-3 の臓器障害を伴う感染症となっている。従来の全身性炎症性反応を伴う感染症であった際には,臨床上急性膵炎のように発熱や炎症反応の増加を認めるが非感染症である場合や,感染症は存在するものの重 感染の診断〔診療フロー〕 -S 27-