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この版は旧版です。新版があります: JSICM 2024 日本版敗血症診療ガイドライン2024(J-SSCG2024)本編 新版を読む
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p.26 抽出テキスト

官機能障害スコア(logistic organ dysfunction system score: LODS),qSOFA の院内死亡に対する予測精度が比較された。その結果,集中治療室内外にかかわらずqSOFA はSIRS より優れているが,集中治療室で用いられるSOFA には劣り,集中治療室外ではLODS と同等,かつSOFA やSOFA 変化に勝るという結果となった。以上より,集中治療室外では敗血症を強く疑う初期スクリーニングとしてqSOFA の評価が推奨され,集中治療室ではqSOFA によるスクリーニングは推奨されないこととなった。本研究では,検証コホートの約89% の症例は集中治療室外であり,qSOFA 2 項目以上では,1 項目以下に比べて院内死亡率が3~14 倍に増加するという結果であった。

一方,本研究 4)の集中治療室症例の解析では, SOFA スコア 5)とLODS が院内死亡の予測に優れているという結果であった。集中治療室症例における後の前向き臨床研究でも同様の結果が得られている 12)。SOFA スコアは,本邦の集中治療室における特定集中治療管理の必須評価項目であるため,集中治療室においては感染症あるいは感染症が疑われる状態でSOFAスコアを評価し,合計2 点以上の急上昇を敗血症と診断することは可能であると考えられた。以上より本ガイドラインでも,集中治療室における敗血症の確定診断にSOFA スコアを用いる。

一方,敗血症性ショックは,敗血症が重症化した1区分として敗血症とは別に定義される。敗血症性ショックは,輸液蘇生だけでは血圧を維持できず,ノルアドレナリンなどの血管収縮薬を必要とし,さらに血中乳酸値が2mmoL / L(18mg / dL)を超える状態として敗血症と区分する。

Shankar-Hari ら 13)は,敗血症性ショックに関する臨床研究などをシステマティックレビューし,Delphi法などを用いて「持続する低血圧」,「血管収縮薬を用いた治療」,「血中乳酸値」の3 つの組み合わせにより新しい敗血症性ショックの診断項目とすることを決定した。そして,Surviving Sepsis Campaign データベース28,150 例を用いたコホート研究より血中乳酸値を評価できる18,840 例を抽出し,乳酸値>2mmoL / L (18mg / dL)を敗血症性ショックの診断の閾値と定めた。Sepsis-3 3)では,敗血症性ショックにおける細胞・

代謝異常の評価として,「持続する低血圧」,「血管収縮薬を用いた治療」,「血中乳酸値」を採用し,本ガイドラインもこの敗血症性ショックの診断基準に準じる方針とした。

J-SSCG 2016 6-9)では,Sepsis-1 1)およびSepsis-2 2)を踏襲するか,Sepsis-3 3)に移行するか,また独自にSepsis の定義と診断基準を策定するかについて討議された。現在も,Sepsis-3 の問題点として,1Seymourら 4)の原著論文における評価項目は敗血症発症の予測ではなく院内死亡の評価基準であること,2 qSOFA の敗血症診断の感度が低いこと(敗血症診断におけるSepsis-2 の鋭敏性),3SOFA スコア項目の見直しが必要であること[ショックやDIC(disseminated intravascular coagulation)やAKI(acute kidney injury)などにおける本邦の急性臓器障害の診断基準と合致しないこと],4qSOFA とSOFA との評価基準に違いがあること(収縮期血圧≦100mmHg もしくは≦90mmHg,平均血圧≦65mmHg もしくは≦ 70mmHg など),5感染症を疑う基準が不明瞭であること,6本邦における乳酸値測定のルーチン化の問題があること,7全身性炎症の新定義の必要性などが残存する。

以上において,J-SSCG 2016 6-9)およびSSCG2016 10, 11)の公表後,本邦を含めてqSOFA を検証する論文が発表されている 13-17)。qSOFA は,ベッドサイドで簡便かつ迅速に患者の重症度を評価できる利点があるが, 2020 年においても敗血症診断と死亡転帰に対する感度の低さが課題として指摘されており,敗血症のearly alert system としての評価は十分に定まっていない。また,Sepsis-3 3)による診断は,従来のSepsis-1 1)による診断より,敗血症と確定する診断数が減少すると予想されている 18-20)。集中治療室入室日にSepsis-1 もしくはSepsis-3 のクライテリアを満たした21,491 例のデータベース検討 18)では,Sepsis-1 の診断基準を満たす症例のうち13.4% はSepsis-3 の基準を満たさず,この21日死亡率は7.0% と報告されている。既往の臓器障害をもたない症例に限定すると,Sepsis-1 診断例の18.4%がSepsis-3 のクライテリアを満たさず,一方,Sepsis-3診断例の6.0% がSepsis-1 のクライテリアを満たしていなかった 17)。このように,Sepsis-3 による敗血症診断は,重症度の高い敗血症をより厳密に診断することに重きを置いていることに注意する。

また,Australasian Resuscitation in Sepsis Evaluation (ARISE)試験のpost hoc 解析 19)における敗血症性ショックの解析では,Sepsis-1 1)の定義により敗血症

Table 1-2-2 quick SOFAスコア意識変容呼吸数≧22 回 / 分収縮期血圧≦100mmHg感染症あるいは感染症を疑う病態で,quick SOFA(qSOFA)スコアの3項目中2 項目以上が存在する場合に敗血症を疑う。

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