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p.8 抽出テキスト

−8−背部を含めて全ての肋間から評価するなどの報告もある

が,判断に必要な所見を得られればそれでよく,基本的には上記の両側8 箇所で十分評価しうる.

4.2.2 胸膜の同定

1プローブの選択

使用するプローブは,体表から4 ~5 cm の深さにある胸膜を描出するため基本としてはリニアプローブが望ましい.胸膜を正しく同定できるならば,胸壁の厚い患者ではコンベックスプローブを用いる.FoCUS や心エコー図検査と同時に行う際には,胸膜の同定ができるならば,セクタープローブを利用してもよい.

2画像の解釈

プローブを体幹の長軸に沿うように鎖骨中線上に置くと,順に皮膚・皮下組織,胸壁の筋群,肋骨・肋軟骨,肋間筋,胸膜ラインが描出できる(図5).胸膜ラインとは,壁側胸膜,胸膜表面を覆う僅かな生理的胸水,臓側胸膜,胸膜直下の肺胞の複合体であり,胸膜エコーコンプレックスとも呼称される.肺POCUS でいう胸膜とはこの胸膜ラインを意味し,肋骨と胸膜ラインを繋いだ線があたかもコウモリが羽をひろげた形に見えるためBat signと呼ばれる.Bat sign は,胸膜を同定するための基本所見である.

ために三尖弁逆流血流速度を記録する場合などに用いる.

4.肺POCUS のプロトコール

4.1 肺 POCUS とは

空気を多く含む肺を対象とする肺POCUS では,腹部超音波検査のように肺実質を画像として捉えることができないため従来の超音波検査では評価不可能とされてきた.しかし,診断よりも判断を重視するPOCUS の考え方では,呼吸不全をきたす病態の早期判断に肺POCUSが有用であるとフランスのDaniel A. Lichtenstein が2000 年前半に報告した.COVID-19 の流行で感染対策の観点からもその利便性が評価され,今では救急集中治療領域において必要な手技となりつつある.呼吸困難を訴える患者において,肺POCUS で迅速に評価すべき病態としては,早期診断・介入が可能な気胸,肺水腫そして胸水貯留である.

肺POCUS では,胸壁にプローブを当てた際に描出される胸膜と胸膜から生成されるアーチファクトを画像所見として捉える.そのため,肺POCUS の基本は,胸膜を描出することにある.

4.2 肺POCUS の手技

4.2.1 スキャン部位

呼吸困難を訴えるような患者は,ベッド上で横たわっていることが多く,仰臥位での評価を基本とする.仰臥位・半坐位の状態で,胸骨より前腋窩線まで,前腋窩線から後腋窩線までに分け,乳頭レベルで上下に分ける. 1:前胸上部,2:前胸下部,3:側胸上部,4:側胸基部の片側4箇所,両側8 箇所で評価する(図4).図5 Bat sign

肋骨と胸膜ラインを繋いだ線があたかもコウモリが羽をひろげた形に見える.

図4 肺POCUSのスキャン部位

1前胸上部,2前胸下部,3側胸上部,4側胸下部の片側4箇所,両側8箇所で肺POCUSを評価する.