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p.5 抽出テキスト

−5−かつ基礎的な手法で内容を絞って実施するのがFoCUS

である.したがって,FoCUS で疾患や異常が見落とされる可能性があること,FoCUS では診断に至らない病態もあることを理解しておくべきである.FoCUS で異常が検出された場合には,心エコー図検査の専門家にlimited echocardiography あるいは,full study を依頼して実施する必要がある.

3.FoCUS のプロトコール

心臓領域のPOCUS には,麻酔科領域で普及しているFocus assessed Transthoracic Echo (FATE)[4] や,救急領域で用いられているFocused Echocardiographic Evaluation in Life Support (FEEL)[5],プライマリ・ケア医から提唱されたCardiopulmonary Limited Ultrasound Examination (CLUE) [6] などのプロトコールがある.本ワーキンググループでは,米国心エコー図学会[1, 3],欧州心血管画像学会[7, 8],World Interactive Network Focused on Critical Ultrasound (WINFOCUS) [9] など多くの国際学会が推奨しているFoCUS を心臓POCUS の基本プロトコールとして位置付け,basic FoCUS と呼ぶこととした.これを基本に,重要な循環器疾患を発見する所見が得られる応用的な観察法としてadvanced FoCUS を設定した.

3.1 Basic FoCUS の観察断面

Basic FoCUS では,以下にあげる3つのアプローチ法を用いて,5つの断面を観察する(図2).

を用いて施行しても内容がFoCUS であればそう呼んでよい.

救急室でショックの原因を迅速に鑑別するために行う心血管POCUS プロトコールが複数存在するが[2],それらはFoCUS と大血管POCUS(大動脈解離や大動脈瘤の有無)の複合と位置づけることができる.

2.2 FoCUS とlimited echocardiography

FoCUS は,心エコー図検査の熟練者が行ってもよいが,熟練者しか行うことができない内容のものは含まない.非熟練者でも一定のトレーニングを行えば施行できる内容でないとFoCUS と呼ぶことはできない.限定的な目的で熟練者が行う “ ちょい当て” ではあるが精査目的である心エコー図検査をlimited echocardiography と呼び,FoCUS とは区別される[3].例えば弁膜症の厳密な重症度を定量的に評価するため,あるいは,組織ドプラ法やストレイン法を用いて「駆出率の保たれた心不全(heart failure with preserved ejection fraction: HFpEF)」であるかどうかを診断するため,などの目的で観察項目を絞って施行する心エコー図検査はlimited echocardiography である.

2.3 FoCUS とfull study

胸痛や呼吸困難等の症候の原因が心血管系にないかどうかを,あらゆるテクニックを駆使してくまなく探す,いわゆるfull study とは異なり,頻度が高いあるいは緊急度が高いような疾患を見落とさないように,簡単

図2 Basic FoCUSの観察断面

心窩部,傍胸骨左縁,心尖部の3つアプローチを用いて,図に示す5つの断面を観察する.