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p.26 抽出テキスト

−26− COVID-19 においても,肺炎と同様の所見が認めら

れる.COIVD-19 では,CT にて胸膜直下に,散在性に所見が認められることが分かっており,肺POCUS でも所見を得やすい.また早期では胸部レントゲンよりも肺POCUS の方が,感度が高く,感染対策等の観点からも肺POCUS を用いることが推奨されている[88].

9.状況別活用法

9.1 救急,救命

救急の領域においては迅速な診断と,迅速な対応が求められ,POCUS は救急外来での迅速な診断に対しての利用や,重症患者の日々のベッドサイドでの変化を観察するモニタリングとしての利用,または緊急度の高い心嚢穿刺や中心静脈穿刺などの侵襲性の高い手技に対して利用され,救急医にとって必須の手技となってきた. 2019 年1 月に日本救急医学会Point-of-Care 超音波推進委員会が発足し,2022 年に日本救急医学会救急Pointof care 超音波診療指針が発表された.その中で,背景,救急専門医の到達目標,その論文的根拠,横断的活用方法,救急専門医としての到達目標が提示され,FoCUSも含まれている[58].

9.2 集中治療

ICU では,重症疾患,不安定な病態,あるいは多臓器障害を管理するため,適切なモニタリング,病態変化時への迅速かつ適確な対応が求められる.ICU におけるFoCUS はモニタリングや病態変化時の鑑別の際に重要な役割を果たす1,2).画像描出法はICU においても一般的なFoCUS と変わらない.ICU 患者の特性上,検査時の体位や観察アプローチ部位が限られ,人工呼吸管理下のために画質が十分でない場合も少なくないが,FoCUSは定性的な評価法であるため,これらの状況においても有用となる.ただし,FoCUS は検査所見の一つであるため,結果は他の臨床,検査所見と併せて解釈する.

ICU におけるFoCUS は,急変時だけでなく,病態変化時,さらには比較的病態が安定している場合のモニタリングに有用なツールとなる.モニタリングでは,バイタルサインや他のベッドサイド検査結果の補完として,あるいは解釈が困難な際に「病態整合性」を直ぐに確認できる.また,ICU 入室時にFoCUS を行うことで,病態整合性の確認,治療方針決めの補完ができるだけでなく,その後の検査時の比較所見となる.とくに,エコー所見が治療方針決めのカギとなる心膜液貯留や右室拡大が入室時から有るか無いかの情報は重要である.急変時に行うFoCUS では,術後や人工呼吸器関連などICU に特化したものも含めて病態を鑑別する.

確実なものになる.肺POCUS における気胸診断の限界としては,1) Bulla がある症例,2) 皮下気腫がある症例,3) 高度肥満症例である.このような場合,無駄に時間を割くよりは,患者状態に応じてCT などの別のモダリティーを利用することを考えるべきである.気胸は早期診断・介入が患者にとってのメリットであり,肺POCUS が必ずしもその目的を達成するとは限らないことを肝に命じておく.

なお,肺POCUS は,気胸の診断だけでなく,ドレーン挿入の可否,抜去後のフォローなどにも利用可能である[82, 83].

8.11 肺炎

肺POCUS において,肺水腫はmultiple B-lines として認められるが,その存在だけでなく,観察される範囲が重要である.一般的に両側に認める肺水腫所見(diffuse multiple B-lines)は心原性肺水腫を示唆し,一方で局所的に認める肺水腫所見(focal multiple B-lines)は,肺炎等を疑わせる.

細菌性肺炎を例に挙げるならば,局所に菌が侵入し,局所に炎症を起こすため,肺水腫も限局的になる.また肺炎の場合,粘性の高い分泌物も増加し,肺胞虚脱が進行すると胸膜の肥厚,胸膜直下のコンソリデーション形成,dynamic air bronchogram などが認められ,心原性肺水腫とは異なる所見を呈するようになる[84-86].肺炎の診断において肺超音波検査の精度は高く,感度は95%,特異度は90% であるのに対し,胸部X 線検査の感度は77%,特異度は91% と報告されている[87].ただし肺炎から全身性に炎症が進むと,ARDS に至り,両側性にmultiple B-lines の所見が観察される.ARDS か心原性肺水腫かの鑑別は前述した胸膜の肥厚,胸膜直下のコンソリデーションなどを参考にするが,FoCUS を組み合わせることで判断がつく場合もある.

図25 気胸診断のフローチャート

肺POCUSを用いた気胸の診断において,国際的なコンセンサスが得られているフローチャートを示す.