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p.25 抽出テキスト

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FoCUS 所見は心膜液貯留に加えて,炎症部位に一致した一過性の壁肥厚と壁運動低下である.つまり,心膜液貯留に加えて,炎症に伴う左室の壁肥厚と壁運動低下が観察された場合には心筋炎の可能性を考える.心筋炎の診断には心筋梗塞の否定および心内膜心筋生検による心筋への炎症細胞浸潤等の病理学的証明が必要であるものの,心筋炎を疑う症例では他の心疾患の除外診断の視点から超音波検査は必須である[77].発症様式により急性心筋炎と慢性心筋炎に分けられる.急性心筋炎のうち,発病初期に循環動態破綻をきたし,機械的補助を要するものを劇症型心筋炎と呼ぶ [78].

8.8.1 急性心筋炎

胸部不快感,循環動態不安定などの臨床所見に加えてFoCUS で,1心膜液貯留:あり,2左室拡大:なし, 3左室収縮能:低下(ただし,発症初期に壁運動低下がみられない症例がある.),4右室拡大:なし,という所見があれば,心筋炎を疑う.典型例では,炎症に伴う左室の全周性壁肥厚とびまん性壁運動低下を示す( 図24)が,炎症の部位に一致した局所壁運動異常にとどまる症例もあり[79],虚血性心疾患との鑑別を要する.

8.8.2 慢性心筋炎

数ヵ月以上持続する心筋炎であり,左室は壁運動低下に加えて拡大していることが多く[80],拡張型心筋症に類似した所見を呈し,超音波検査だけでは鑑別困難である.

8.9 循環血液量減少性ショック(出血など)

ショック例において循環血液量減少を示唆するFoCUS/ 肺POCUS の所見は,1小さく過収縮な左室, 2虚脱した下大静脈,3うっ血のない肺である.この時,右室の機能が保たれていることを確認する必要がある.なぜならば,右心不全は“ 小さく過収縮な左室” の原因になるからである.右心不全の場合は,右房や下大静脈の拡大が観察される.

8.10 気胸

急性の胸痛をきたす疾患の一つに気胸がある.気胸は早期に診断・介入すれば,速やかに症状を緩和することができる病態である.肺 POCUS による気胸の診断は,胸部レントゲンでよりも,迅速に,感度よく,被曝もなく施行可能であり,かつ初学者でも数時間のトレーニングにて習得可能である[13, 81].

肺POCUS による気胸の診断には,国際的なコンセンサスがあり,図25 に示すフローチャートに基づき診断する[14].Lung sliding だけでは,感度は高いものの,特異度は低く,段階的なアプローチにより気胸診断が

8.7.2 FoCUS を少し超えた評価

閉塞性肥大型心筋症では,僧帽弁前尖に収縮期前方運動(systolic anterior motion: SAM)がみられる.SAM は,傍胸骨左室長軸断面で収縮中期に心室中隔に接するような僧帽弁の動きとして観察される(図22).閉塞性肥大型心筋症は,失神の原因になり得るので,失神例では左室肥大とともにSAM の評価もできると良い.

8.8 心筋炎

心筋炎は心筋を主座とした炎症性疾患であり,その

図22 肥大型心筋症

典型的な肥大型心筋症例を示す.上段は傍胸骨左縁長軸断面,下段は同短軸断面.*が肥大した心筋,矢印は僧帽弁前尖に収縮期前方運動(systolic anterior motion: SAM)を示す.

図23 心尖部肥大型心筋症

傍胸骨左室長軸断面(左図)では肥大が目立たないが,心尖部四腔断面(右図)では,心尖部に限局した心筋肥大が観察される.

図24 急性心筋炎

傍胸骨左縁長軸断面(左図),同短軸断面(右図)において,左室の全周性壁肥厚とびまん性壁運動低下がみられる.