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p.22 抽出テキスト

−22− FoCUS による中等症以上のMR に対する定性的診断

能を調べた2 つの研究における診断感度と特異度は71- 93%,特異度は81-99%だった[63, 68]. また,これらの研究において,中等症以上の大動脈弁逆流に対する診断感度は82-83%,特異度は89-99%,中等症以上の三尖弁逆流に対する診断感度は65-88%,特異度は90-98%だった.

8.5 シャント疾患(ASD, VSD, 心室中隔穿孔)

有意な心房中隔欠損症(atrial septal defect:ASD)があれば右心拡大は必発である.したがって右心拡大がある際には他の右心負荷疾患を鑑別しながら心窩部四腔断面で心房中隔にカラードプラ法のregion of interest (ROI)を置いて左房から右房へ流れる左右シャントがないかどうかを確かめればよい.

聴診で全収縮期雑音を聴取した際には,鑑別診断がMR(最強点が心尖部)か心室中隔欠損症(ventricular septal defect:VSD)(最強点が胸骨左縁),TR(最強点が胸骨左縁でしばしば頸静脈の収縮期陽性波を伴う),急性心筋梗塞の合併症としての心室中隔穿孔の4 疾患に限定される.したがってカラードプラ法でそれらを検出するよう努める.心室中隔穿孔は,ST 上昇型心筋梗塞の数%未満において,発症2 週以内に合併する(図20).好発時期は心筋梗塞発症後4 日以内である.前壁梗塞に伴って心尖部寄りの心室中隔に生じやすいが下壁梗塞にも合併しうる.断層像においても中隔の穿孔部を観察し得るが,カラードプラ法を用いて左室から右室への短絡血流を探したほうが検出感度は高く,本症が疑われた場合には基本断面にこだわらず種々の斜め切りの断面(off-axis view)も含めて検索すべきである. 本症における内科的治療による死亡率は高く,IABP や血管拡張薬で後負荷を軽減させて左右短絡の減少を図りなが

部位から起始するMR が認められる.断裂した乳頭筋は腱索に付着する塊状エコーとして観察される(図18).

FoCUS でも検出することが可能だが,感染性心内膜炎に伴う疣腫等との鑑別が難しいので,画像のみで診断すべきでなく状況とあわせて考えるべきである.内科的治療による死亡率は高く,IABP や血管拡張薬で血行動態の改善を図りながら,外科的治療を緊急に準備する必要がある.

FoCUS では,ジェットの幅や面積を計測して半定量するのではなく視覚的に定性的評価を行う.図19 のように心腔を3 等分して到達度によって評価する定性方法が簡便だが, AR では到達度よりジェットの幅の評価がより重要視される.MR や三尖弁逆流症(tricuspid regurgitation:TR)においても到達度よりジェットの幅,さらには縮流部(逆流弁口のわずかに下流で最もジェット幅が細い部分,vena contracta と呼ぶ)の幅のほうが重症度評価においてより重要であることを知っておく必要がある.左房を旋回するMR ジェットが認められるときには間違いなく重症と考えて良い.心エコー図(full study)では定性または半定量評価の後に定量評価へ進むことになるが,FoCUS ではカラードプラ法のみを用い,かつ,計測せず視覚的にのみ評価する.明確な基準が決まっていないことが欠点であり,現存する種々の評価法を参考にして検者が定性的に判断せざるを得ない.また,カラードプラ法による逆流ジェットの表示は白黒とカラードプラのゲイン,角度等によって大きく変化することも知っておく必要がある.急性の重症MR では左房圧の著明な上昇によって左室左房の圧較差が小さくなり,収縮期雑音やカラードプラ法でのジェットの明るさが減弱するので過小評価しないようにしなければならない.図19 弁逆流の半定量的評価法

弁逆流の程度を,FoCUSではカラードプラ法のみを用い,かつ,計測せず視覚的に評価する.

図18 乳頭筋断裂

僧帽弁に付着した可動性に富む塊状エコー(矢印)が断裂した乳頭筋である.