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p.16 抽出テキスト

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示唆される.

循環虚脱やショックの患者では,診断,治療ともに迅速な対応が要求されるため,ショックの病型推定にFoCUS を用いることは理にかなっている.ただし,ショックの病型が1 つではないことも少なくないため,心原性と血液分布異常性の合併,血液分布異常性と循環血液減少性の合併などに留意が必要である.これらの混合性ショックを除けばRUSH プロトコールによるショック病型の診断精度は感度,特異度とも90% を超える[27].

7.4 心肺蘇生

蘇生の現場でもPOCUS が広く利用されるようになり,その方法論や効果などが数多く報告されている.蘇生時の適切な教育を受けた臨床医による超音波での評価は有用とされている.領域によりその数は様々であるが, 25 症例以上の経験が求められている[28]. 蘇生時に行われる超音波の評価では心窩部あるいは傍胸骨から観察されることが多く,その他に肺,下大静脈,脈拍の確認,挿管チューブの確認,深部静脈血栓の評価,大動脈の評価,FAST(Focused Assessment with Sonography for Trauma)などが行われる[29].最近の報告では,心窩部からの評価よりも傍胸骨左縁長軸断面の方がより短時間で質のよい評価ができるとの報告もある[30].蘇生時の超音波における評価に伴い,心臓マッサージの中断時間をできるだけ短くすることが求められる[31].現時点では,国際蘇生学会は超音波の所見のみでは予後を推測し,蘇生を中断する判断を行うには十分な感度がないとしている[32, 33].

蘇生時に行われる超音波での評価について,その目的の一つに心停止の原因を診断することにある.心タンポナーデ,肺塞栓による右心不全,心腔内血栓,心室細動など,心停止の原因をFoCUS により診断することができる.また肺エコーにより緊張性気胸,大量血胸,大量胸水などが評価できる.挿管チューブの評価により食道挿管の有無も評価できる[34].また下肢静脈の評価により深部静脈血栓症の評価,大動脈の評価により大動脈解離あるいは大動脈瘤の評価,FAST により腹腔内出血の評価ができる.これまで蘇生時の超音波による評価方法としていくつかの評価方法が報告されている[5, 29, 35- 39].いずれの評価方法でも,心タンポナーデ,肺塞栓,緊張性気胸,大動脈解離,大動脈瘤,循環血液量の評価が含まれる.しかしその診断精度については現在のところ議論のあるところである[40].

蘇生時の超音波での予後評価については,超音波所見のみの判断については十分なエビデンスはない[28, 32].非外傷蘇生でのPEA や心静止では,蘇生中に心臓の動きを認めた場合,心拍再開する可能性は高く,治療を継

心膜摩擦音があれば心膜炎と考えられる.

下腿の浮腫が両側性であれば心不全や腎不全,低栄養状態が考えられる.片側性であれば深部静脈血栓症とそれからくる肺血栓塞栓症の可能性がある.

7.2.3 FoCUS/ 肺POCUS で異常が

認められなかった場合

FoCUS/肺POCUSで異常が認められなかった場合も,呼吸不全(息切れ)という症状の場合には,重篤な疾患は否定できない.心電図,採血,CT などの検査を行うと同時に,入院して経過観察するなどの対応を検討すべきである.

7.3 循環虚脱・ショック

循環虚脱やショックを呈する患者においては,速やかに原因診断と不安定な血行動態への対応を行う必要がある.ショック患者の評価にmulti-organ POCUS を用いると初期診断がより正確になることが示されている[25].また,Multi-organ POCUS の中でも FoCUS の評価により,閉塞性ショックの除外,あるいはショックの病型推定に役立つ.Multi-organ POCUS では「ショックへの迅速超音波プロトコール(Rapid Ultrasound in SHock: RUSH)」[26] が有名であり,その中のbasic FoCUS の項目を主体に説明する.

RUSH プロトコールでは,循環生理学的に1) ポンプ,2)タンク,3) パイプを3 段階で評価してショックの病型を推定する.ステップ1 は,第一に心臓,「ポンプ」を,左室,右室,心嚢に焦点を絞って判断する.最初に心囊を見て,閉塞性ショックをきたすような心囊液がないかどうかを観察する.二番目に左室の大きさと全体的な収縮能を調べ,心原性ショックの有無を判断する.三番目は,左室に対する右室の相対的な大きさの判定に焦点を絞り,右室負荷があるかどうかを判断し,左室と比較して右室が大きい場合は,広範性肺塞栓症にともなうショックを疑う.ステップ2 では,血管内容量が充分かどうかの「タンク」を判断する.下大静脈径および呼吸性変動から,虚脱した下大静脈であれば循環血液量減少性ショックの可能性,緊満した下大静脈であれば閉塞性ショックや心原性ショックの可能性を疑う.また,血管内容量低下の徴候となり得る病態に関して,胸腔や腹腔の評価(胸水や腹水など)もタンクの評価に含まれる.ステップ3では,大動脈と大静脈の「パイプ」を評価する.Basic FoCUS のレベルを超えるが,腹部大動脈と胸部大動脈を観察し,パイプに破裂や解離がないかを確認する.静脈系として大腿静脈の圧迫性を観察し,直接圧迫した時に静脈が完全に圧排されない場合は,深部静脈血栓症が強く疑われ,間接的に広範性肺塞栓症によるショックが