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p.15 抽出テキスト

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といった肺血管抵抗上昇を示唆する所見も観察される.緊張性気胸も“Killer chest pain” の一つである.肺POCUS でLung sliding が認められない場合には気胸が疑われる.胸部CT の所見を合わせて確認し,緊張性気胸であれば胸腔ドレナージを考える.

7.1.2 FoCUS/ 肺POCUS で異常が

認められなかった場合

表4 に挙げるように胸痛の原因疾患は多岐に及ぶため,FoCUS/ 肺POCUS で異常が認められないことも多い.しかし,その場合は致死的な疾患ではない可能性が高いということで,ゆっくりと対応することができる.重篤な疾患を迅速に否定できる,という点もFoCUS/ 肺POCUS の利点と言える.

7.2 呼吸不全(息切れ)

7.2.1 FoCUS で確認すべき疾患

呼吸困難に対するFoCUS の有用性がこれまでの報告で示されている.FoCUS +胸部エコーを用いた群(POCUS 群)と従来の診断(初期評価とX 線,CT,心エコー,血液検査,血液ガス)とを比べた研究によると,診断に要した時間はPOCUS 群では 24 ± 10 分,従来群では 186 ± 72 分(P = 0.025)と有意に短かった[24].また心不全の診断についてPOCUS 群における感度は88%,特異度は96% と良好な結果を示した[24].

呼吸不全(息切れ)を主訴とする患者を診た時に, FoCUS/ 肺POCUS で確認しなければならない疾患/ 病態には心不全,肺塞栓症,胸水,気胸がある.また,心不全を来す疾患として虚血性心疾患,心筋症,弁膜症(感染性心内膜炎やシャント,腫瘍によるものを含む)がある.

7.2.2 FoCUS と同時に確認すべき

病歴・身体所見

胸痛があれば狭心症や心筋梗塞,心膜炎,気胸が疑われる.起坐呼吸は左心不全のマーカーである.血圧が低下して頻脈となっていればショック状態などの重篤な状態が疑われる.タンポナーデの場合にも血圧の低下と頻脈が認められる.脈が不整であれば心房細動が考えられる.発熱があれば感染性心内膜炎などの感染を念頭に置く.頚静脈怒張があれば循環血漿量増加が疑われる.タンポナーデの場合にも頚静脈は怒張する.心尖拍動の位置が外側に広がっていれば心拡大が示唆される.III音が聴取されれば心不全の可能性が高い.収縮期雑音が聴取されれば駆出性雑音か汎収縮期雑音か区別する.駆出性雑音であれば大動脈弁狭窄症が疑われ,汎収縮期雑音の場合にはMR や三尖弁逆流症,シャントの可能性がある.

ペースがある.一方で,Curtain sign を認める,肺底部に胸水を認める程度は少量と考える[22].

7.臨床シナリオ

7.1 胸痛

7.1.1 FoCUS で確認すべき疾患

胸痛を訴える患者における鑑別疾患には表4 に示すように多種多様な疾患がある.これらの鑑別疾患の中でも,特に致死性の高いものに急性大動脈解離,急性冠症候群,急性肺血栓塞栓症があり,それらは“Killer chest pain” と呼ばれ,見逃してはならない疾患である.胸痛に対して,そのような緊急疾患を診断するPOCUS のプロトコールとして,EASY スクリーニングが提唱されており[23],これはadvanced FoCUS を含めた評価となっている.Basic FoCUS だけでは胸痛症例への対応は難しく,advanced FoCUS の実施が推奨される.

突然の胸背部痛に加えて心膜液貯留を認める場合には,Stanford A 型大動脈解離の可能性を考える. Advanced FoCUS では,上行大動脈拡大や大動脈内フラップおよび大動脈弁逆流の存在を確認する.

左室収縮能低下を認める場合,左室拡大の有無が胸痛の鑑別診断に大いに役立つ.左室収縮能低下に対する代償機構として左室拡大を認めれば,心筋症や弁膜症に伴う心筋障害が左室収縮能低下の主な原因と考えられる. Advanced FoCUS で左室肥大や左房拡大の有無を確認し,カラードプラ法を用いてMR や大動脈弁逆流の存在を確認する.一方,左室拡大を伴っていなければ,胸痛の原因疾患として急性冠症候群や急性心筋炎といった急性疾患を考える.Advanced FoCUS では,左室壁運動異常の領域が冠動脈支配領域に一致しているか否かを確認することで,冠動脈疾患の関与を推察できる.大動脈解離が冠動脈起始部におよぶことで冠動脈狭窄を生じることがあるので,急性冠症候群が疑われた場合には大動脈解離の関与を除外するために上行大動脈を観察するべきである.胸痛例で右室拡大を認める場合,胸痛の原因として肺塞栓症が最も疑われる.収縮期にも拡大した右室により心室中隔を介して圧排され扁平化した左室(D-shape)が観察されれば,右室圧負荷増大に対する代償機構として右室が拡大していることを示唆する.Advanced FoCUS では,右室自由壁の壁運動が中間部では無収縮であるのに心尖部では正常である右室自由壁運動異常(McConnell 徴候)を認めれば,右室後負荷増大の経過が急性である可能性が高い.また,パルスドプラ法による右室流出血流速度波形で加速時間の短縮や二峰性波形