p.13 抽出テキスト
−13− する.そのため,lung sliding・lung pulse・B-line が観察されなくなる.さらにまた気胸に特異的な所見としてlung point(図10)が観察される場合がある[14]. a. Lung sliding の消失a.感度90%の所見.ただし巨大なbulla や癒着胸膜,片肺挿管などでもlung sliding の消失が認められ,気胸に特異的ではない. b. Lung pulse の消失気胸では臓側胸膜が胸壁から離れるため,lung pulseが消失する. c. Lung point(図10)胸膜が接する部位と接しない部位の境界で,lung sliding が出現・消失を繰り返す所見(感度60%,特異度100%)[15]. 2肺水腫 救急外来における肺POCUS による心原性肺水腫の診断精度はメタ解析では,感度94%,特異度92% とされている.また心原性肺水腫の診断に肺POCUS だけでなく,心臓超音波検査を組み合わせることが有用と報 6.2 異常所見 1気胸 肺POCUS による気胸の診断精度は,メタ解析では感度79%,特異度98% であり,胸部X 線検査の感度40%,特異度99% に比べ優れている[11].特に仰臥位の胸部レントゲン検査ではoccult pneumothorax と呼ばれる前胸部の気胸を評価することができず,肺POCUS が有用である[12].また約2 時間の肺POCUS のトレーニングを受ければ,気胸を正確に診断することができるため,初学者でも習得しやすい[13]. 気胸の病態は,臓側胸膜と壁側胸膜の間に空気が貯留図10 Lung point 気胸が生じて胸膜が胸壁と接している部位と,接していない部位の境界をLung pointといい,特異度が高い所見である. 表3.肺POCUSの評価項目(チェックシート) 左 側 Lung sliding 肺POCUS の評価項目 □なし □あり□なし □あり Lung pulse □なし □あり□なし □あり Multiple B-lines □なし □あり□なし □あり 胸水□なし □少量 □大量□なし □少量 □大量 右 側 図8 正常な肺POCUSの所見 含気の多い正常肺では,このようなエコー所見が観察される. 図9 正常な肺POCUSの所見(つづき) 吸気時に横隔膜下の臓器が見えなくなることを Curtain signという.