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p.53 抽出テキスト

うち,心機能改善によりLVAD離脱を行ったのは1.8%と少なく445),また連続流LVAD植込症例のほうが拍動流LVAD症例に比べてreverse remodelingによるLVAD離脱症例が少ないという報告もある446).離脱が少ない理由の1 つとして,連続流LVADのほうが拍動流LVADに比べて遠隔期のARが起こりやすく375),この遠隔期のARによる容量負荷がreverse remodelingを妨げている可能性がある139).

2006年3月から2015年6月にINTERMACSに登録された成人LVAD植込15,138例のうち,実際にLVAD離脱に至ったのは192例(1.3%)であった442).LVAD植込の目的別にみた場合,心機能改善を目的としたLVAD植込例(BTR)が14例(11.2%,7.3回/100人年)で,心移植または心移植適応評価,DTを目的とした植込例(non-BTR)の178例(1.2%,0.9回/100人年)と比し,有意に高率であった.さらに興味深いことに,左室収縮機能がフォローできた7,084例のうち,有効な心機能改善が得られたのは892例(12.6%)で,その97%の症例はnon-BTR例であった.これらのことは,LVAD離脱の頻度がLVAD植込の目的により大きく異なることを示している.

ポンプ摘出手術の際,心尖部のinflow cuffが柔らかければカフを残して縫合閉鎖することが多いが,遠隔期に感染源となることもある.カフが固く閉鎖できない場合は人工心肺下にカフを摘出するが,カフにプラグを挿入する方法447)もあり,再度,心不全が増悪してもカフを使用できる可能性を残している.またinflow cuffにまで感染が及んでいる場合にはカフは可及的に摘出するべきであり,感染の程度が重度であれば大網充填も考慮すべきである.

4.3 オフテスト

ニプロVADでは,離脱を目指す症例において1週間に5回/分程度の割合で補助の回数を減らしていき,60回/分程度まで補助回数を減らしたうえで,心エコー上自己大動脈弁の開放が良好で,BNP<100 pg/mL,心肺機能検査(CPXT)での最大酸素摂取量(peak V

4 O2)≧16 mL/kg/

minもしくは正常対照の≧60%を満たす場合に,VADの駆動を停止した状態で血行動態や運動耐容能を調べる,いわゆるオフテストを行う.

オフテストとは,駆動装置を停止させた後,緊急時のために予備としてある送気球(手押しポンプ)により手押しで1分間に10回程度ポンプを押して血栓を予防しつつ,最低限の流量を保った状態で血行動態評価や運動負荷を行うものである.まずVADをoffにして血行動態評価を行うが,この時点で心エコー上LVEFが明らかに低下してしまったり,肺動脈楔入圧(PCWP)の著明な上

昇や体血圧の著明な低下がみられたりするような場合には,その時点で離脱は困難と判断して試験は中止するべきである.これをクリアできた場合には,引き続いて生理食塩水10 mL/kgを15分間で負荷する,いわゆる「水(生理食塩水)負荷」を行う.この際にPCWPが10 mmHg以上上昇する,および/ないし心拍出量が低下するような症例は離脱困難と判断される.PCWPの上昇が10 mmHg未満で,かつ心拍出量が不変ないし上昇する症例においては離脱が期待できるが,その判断は心エコーや心肺機能検査の結果とあわせて慎重に行うべきである.体外設置型VADを停止させた状態で運動負荷を行うことには一定のリスクが伴うので,その施行にあたっては細心の注意を払う必要があるが,VAD offの状態でのpeak V

4 O2が16 mL/kg/min以上であれば離脱できる可能性が高く,12 mL/kg/min以下であれば離脱困難と判断する.なお,本オフテストのプロトコールおよび結果の解釈は確立されたものではなく,エキスパートオピニオンのレベルに留まることに注意が必要である.

植込型LVADでは通常VADを完全に停止させることはできないので,離脱可能かどうかの評価はさらに慎重に行う必要がある.離脱が可能かどうかの評価をするにあたっては,ニプロVAD同様心エコー所見,血行動態評価,運動耐容能が重要である.VADの回転数を最小まで下げた状態での心エコー所見,および心肺機能検査(CPXT)の結果から,LVDd<60 mm,左室収縮末期径(LVDs)< 50 mm,LVEF>45%,PCWP<15 mmHg,心係数(CI) >2.4 L/min/m 2,CPXTでのpeak V

4 O2>16 mL/kg/minで

あれば離脱可能との報告がある442).

運動耐容能については,とくにわが国の心不全患者では,長い罹病期間に廃用が高度に進行してしまった結果, VAD装着後に心機能は十分に改善してきているにもかかわらず,筋力の改善が遅れる結果として,なかなかpeak V

4 O2>16 mL/kg/minという離脱の基準を満たせないことも多く経験する.VADを装着して約3ヵ月後のCPXTにおいて,51watt以上の負荷が可能,かつpeak V

4 O2≧12.8

mL/kg/minかつVE/V

4 CO2 Slope≦34 であれば86%の症

例でVADの離脱が可能であったとの報告もあり,このような症例では離脱を考慮したテストを検討する43).