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p.46 抽出テキスト

使用薬剤としてはβ遮断薬,ACE阻害薬,アルドステロン拮抗薬などを中心として,それらを2剤,3剤併用する症例も含まれていた( *INTERMACSはカルシウム拮抗薬のデータを収集しておらず,投与されている薬剤は植込型LVAD装着後の心保護や腎保護,不整脈予防目的にも使用される薬剤であるため,すべてが降圧目的で使用されているわけではないことに注意が必要である).

1.9 Shared care

shared care 402, 403)とは,VAD・心臓移植などの高度かつ専門的な治療において,実施施設と基幹病院などのチームが協力して患者をケアするものである.近年,VAD植込実施施設の地域偏在性や治療期間の長期化,各施設の対応可能数を超える患者数の増大などから,植込型VADの実施施設と管理施設の間でshared careの必要性が増大している404).

共有し分担するケア内容は,患者および介助者の日々の教育およびケア,機器の管理,体調不良時の対応, VADに関連した合併症発現時の緊急対応,消防署や学校などのコミュニティーへの教育など多岐にわたり,多職種での関与が推奨されている162).ただし,植込型VADの実施施設や管理施設,基幹病院がそれぞれどこまでのことを行うかは,内容や距離的な要因などにより異なる.欧米のガイドラインでは,明らかな機器の不具合時の対応は経験豊富な施設での対応が考慮されるが,状態が不安定な患者は最も近くの病院でまず安定化させることが推奨されている210).日本でも急変時は患者の居住地域にある植込型VAD管理施設や基幹病院で速やかに対応することが望ましい.

shared careの利点は,脳合併症や機器トラブルなど時間経過が予後に影響しうる事象における初期対応までの時間的優位性だけでなく,植込前に行われていた診療およびコミュニケーションの継続,通院における身体的・経済的負担の軽減などがある405).一方でshared careによる生命予後や合併症発生頻度などの治療成績への効果を含めた有益性を示すエビデンスはまだ明らかになっていない.

shared careを通して紹介医および地域の医療従事者がVAD治療を経験することでVAD治療に対する理解が深まり,患者・ケアギバーにとってより適切な治療選択につながることなどが期待される. 2.1 リハビリテーション

合併症のない植込型LVAD患者は在宅移植待機が可能であり,すみやかな自宅復帰の実現が望ましい.しかし, VADが適応とされる重症心不全患者の多くは,治療に伴う長期安静で筋萎縮などの脱調節(deconditioning)が進行している.したがって,術前や周術期のベッド安静に伴う合併症がVAD装着術後の動作獲得を妨げ,自宅復帰を遅らせることがある.

心臓リハビリテーション(リハビリ)はそれらを改善,予防し,植込型LVAD患者に対する自宅復帰プログラムの円滑な進行を支援する.VAD装着患者に対するリハビリは,術後早期からの導入が望ましい406, 407).ベッド上で可能なポジショニングや関節可動域運動,呼吸訓練などから開始し,徐々に座位,立位,歩行訓練へと進める.病棟歩行が自立すれば,エルゴメータやトレッドミルなどの訓練により,自宅復帰に必要な運動耐容能獲得を目指す79).運動負荷は心肺運動負荷試験による嫌気性代謝閾値,もしくはBorgスケール11~13程度に設定する.また,自宅環境に合わせて段差昇降やADL(日常生活動作)訓練なども行い,装置の運搬も含めた安全な移動方法を指導する.VAD装着患者のリハビリ中はコントローラやバッテリに配慮し,装置の故障やドライブラインの断線,ドライブライン貫通部の皮膚損傷などのないよう注意が必要である.また,連続流VADでは血圧測定が困難なことが多く,リハビリ中はコントローラに表示される流量低下や,めまいなどの低血圧症状を注意深く観察する.逆に,機種によっては運動負荷に伴い自動的に補助流量が増加するとの報告もある408).その他,脳合併症や感染症,右心不全などの遠隔期合併症がリハビリを遅延させることがあるが,そのような場合は医師の診察を経たうえでリハビリの可否を判断する.

植込型LVAD植込術から8ヵ月経過後も患者の最高酸素摂取量や運動負荷量,健康関連QOLは改善するものの,心臓移植患者ほどの回復には至らない場合が多い409).したがって,自宅復帰後も運動耐容能の維持,改善のためリハビリを継続することが重要である.入院中より万歩計を用いて日々の運動量を把握し,社会復帰に必要な運動量を明確にすることで退院後の自主訓練を促す.また,退

2 在宅治療訓練