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れている377, 378).AIの発生により,LVAD補助中にもかかわらず肺動脈楔入圧,中心静脈圧が上昇することが確認されている377).LVAD回転数を上げることで一時的に心拍出量を増加させることはできるが,長期的にはむしろAIを増悪させると考えられている379). LVAD補助による脈圧の低下(とくに連続流において)や送血管からの血流による大動脈基部の乱流形成が血管壁に悪影響を与える可能性や,自己心の収縮力の低下とLVADによる左室からの強力な脱血によって大動脈弁が持続的に閉鎖することが弁からの逆流を促進させてしまう可能性が想定されている140, 380). 危険因子としては,女性,大きい体表面積,連続流型のLVAD使用(脈圧を低下させるため) 381),高い回転数の設定(左室内圧を低下させ,逆に大動脈基部の圧力を増加させるため) 379)などが知られている.術後の危険因子として前述のように大動脈弁の持続的閉鎖がよく知られている139, 140, 380).安静時に大動脈弁が閉鎖していても運動時には開放している症例もあり,そのような患者ではAIは発症しにくいようである382). AIと生命予後の関係について一定の結論は得られていないが,心不全増悪による再入院を増やし運動耐容能を低下させることは確実である139, 140, 383).軽症のAIに対しては, LVADの回転数を低めに設定して大動脈弁の開放に努めたり,後負荷を減らすために降圧薬を調整したり,自己心のreverse remodelingを促進するためにβ遮断薬などを増量したりすることも試みられるが,抜本的な治療にはなりにくい209).重症のAIに対しては,弁置換術141),弁形成術384),弁のパッチ閉鎖385)のほか,ASD閉鎖デバイスによる弁閉鎖386)なども試みられる.近年,経カテーテル的大動脈弁植込術も試みられている387).待機時間との兼ね合いになるが,心臓移植が最もよい解決手段である. 1.6 不整脈 遠隔期に持続性の心室頻拍や心室細動を合併する症例も少なくない.VAD装着後はICD作動が覚醒下となる可能性が高いため,致死性の不整脈が生じてもショックデリバリーは起きないように設定しておくことが多い.VADが正常に作動していれば,心室細動がただちに致命的となることはないが,右心機能低下により心拍出量が低下することがある.鎮静下に除細動し,アミオダロンなどの抗不整脈薬を投与する.左室内の脱血管が心室壁に物理的に接触することで,機械的刺激により不整脈を生じている症例も少なくない.このような場合には回転数や前負荷の調整が有効なことがある.種々の治療でも改善せず,心室細動のまま慢性に経過する症例もあるが,心室細動のまま循環 動態を維持できる症例とできない症例があり,この違いがどこから生じるのかはいまだに不明である. VAD装着後に心室性不整脈を発症する予測因子としては,植込前の心室性不整脈の既往388-390),心不全罹病期間が長いこと(心不全発症からVAD植込までの期間>84ヵ月388),もしくは心不全罹病期間>12ヵ月389)),植込前の心房細動の既往,基礎疾患が拡張型心筋症であること389),植込早期(30日以内)の心室性不整脈の発症389),ACE阻害薬を投与されていないこと389)などがあげられている. 1.7 植込型LVADポンプ機能不全(ポンプ 交換手術含む) VADの主流となっている連続流VADは,かつての拍動流VADに比較し耐久性は格段に向上しているが,依然として機器不具合の報告はある8, 391).一方で,血液ポンプが停止した場合,逆流防止弁が内在していないため血液が大動脈側の流出管からポンプ本体を経由して左室に逆流して循環不全となる.血液ポンプ機能不全の原因として多いものには,ドライブライン断線があげられており,HM-II植込後の3%に発生し,ポンプ交換の原因のうち46%を占めていたと報告されている392).しかしながら,磁気浮上型の遠心ポンプであるHM-3では装置の不具合とそれによるポンプ交換の発生率は減少していると報告されている56). ポンプ機能不全の原因として最も多いものは,ポンプ内血栓形成である.発生頻度は2年間で1%から6ヵ月間で8%とさまざまに報告されている.ポンプ交換の原因の中で29%から50%を占めていたとされる12).ポンプ内血栓形成の要因は完全には理解されていないが,多因子が関与しているものと考えられている.デバイスに関連した要因としては,回転子により発生する熱,血小板凝集につながる高いずり応力,脱血管周囲の血栓形成,流入管の位置異常,流出管の狭窄等がある.また,患者要因としては,術前からの心房内・心室内血栓の存在,心房細動,左心系の人工物の存在,脱水があげられる. 患者管理に由来することとしては,低いPT-INRでの管理,不十分な抗血小板薬,感染の併発,そしてポンプの低回転数などが考慮される. (ポンプ血栓の診断と薬物治療については第4章5.1 装置の不具合参照) 血液ポンプやドライブラインの不調によるポンプ機能不全の場合は,緊急のポンプ交換を要することが多い393, 394).血液ポンプ内血栓が原因でポンプ機能不全が生じた場合も同様である.体内植込部分以外の機能不全の場合は,コントローラなどの各パーツの交換で解決される場合もある.