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p.35 抽出テキスト

が高度な場合,DT治療の場合などでは,弁輪縫縮による逆流制御が推奨される.

3.8.4 肺動脈弁閉鎖不全症(PR)

VAD治療におけるPRの影響についての報告はないために,本ガイドライン作成委員のコンセンサスを記す.高度PRでは,とくに肺血管抵抗が高い場合や右心機能が低下している場合には肺動脈弁置換術が必要と考えられる.

4.1 LVADの麻酔管理

4.1.1 麻酔導入

LVADが装着されるのは重症の左心不全もしくは両心不全症例である.そのため内因性のカテコラミン増加による末梢循環不全の低心拍出量状態である.収縮期体血圧は80 mmHg前後であることがほとんどであり,肺うっ血のため酸素化状態が悪化している症例も多い.

心電図,パルスオキシメーターを装着して麻酔導入前に橈骨動脈圧ラインを確保する.末梢温モニタを手掌に,脳酸素飽和度モニタを前額部に装着する.麻酔深度モニタも装着することが望ましい.麻酔導入では少量の鎮静薬投与でも体血圧が大きく低下するため,ミダゾラム2~5 mgを緩徐投与する.麻薬系の鎮痛薬は比較的十分な量を投与することが可能であり,フェンタニル100~300 μgを緩徐投与する.低心拍出量のため十分に時間をかけて,プロポフォール少量(50 mg前後)を投与して鎮静する.低心拍出量のため麻酔薬の効果発現は遅延する.体血圧低下時にはフェニレフリン0.1 mg単回投与もしくはノルアドレナリン0.02~0.05 μ g/kg/min持続投与で対処する.臭化ロクロニウムなどの筋弛緩薬投与後に十分時間を待って挿管を行う253).麻酔深度が浅くても,術中覚醒していることはまれである.

麻酔導入後に経食道心エコー(TEE)プローブを挿入して,心機能評価を行う.急速輸血ラインとして前腕に16~ 18Gの末梢ラインを確保する.右内頸脈より,中心静脈ラインと肺動脈カテーテルを挿入する.中心静脈ラインはhANP単独持続投与を考慮して4ルーメンカテーテルが望ましい.

麻酔維持はプロポフォール3 mg/kg/hr前後もしくは低用

4 植込型VADの手術管理量吸入麻酔薬で維持を行う.レミフェンタニルは0.1 μ g/

kg/min前後の少量投与とするが,執刀前には0.3 μ g/kg/ min前後の持続投与とする.必要に応じてノルアドレナリン持続投与を施行する.感染予防を考慮した,広域効果の抗生剤投与を行う.

4.1.2 術中麻酔維持と循環作動薬

執刀後は0.3~0.5 μg/kg/minと十分なレミフェンタニル持続投与と鎮静薬投与を行う.鎮静薬投与量は比較的少なくても麻酔深度モニタは低下して維持されていることが多い.術操作による体血圧低下に対しては輸液輸血負荷とノルアドレナリン持続投与で対処する.

人工心肺が開始されたら灌流圧と人工心肺流量を調整することになる.多くの症例でノルアドレナリン持続投与継続が必要となる.ときには0.2~0.6 μg/kg/min程度までの増量が必要となる.麻酔維持薬は静脈麻酔を原則として体温低下分は減量,血液希釈分は増量する.

LVAD装着後の復温時よりドパミンもしくはドブタミン持続投与を開始する.灌流圧とTEEの所見をみながら,可能ならばPDEIII阻害薬も持続投与を開始する.左心室機能はLVADで代償されるので後負荷軽減のための血管拡張作用が重要となる.右心不全が顕著な症例では強心薬が必要となる.

LVAD回転数を最小限から開始して人工心肺からの離脱を開始する.十分な容量負荷を行い,必要に応じた血管作動薬を投与する.心室容量と壁運動はTEEにて確認,圧パラメータは肺動脈カテーテル,動脈圧でモニタする.灌流圧は60~80 mmHgを維持する.

人工心肺離脱後の肺高血圧に対してはNO吸入が有効となることが多い.尿量維持にANP持続投与が有用となる.止血凝固能は低下しているため,血小板製剤,新鮮凍結血漿などを必要十分量を投与する.自己血回収装置も必ず準備使用することが必要である.

手術終了後は集中治療室に搬送する.レミフェンタニルを減量停止して,フェンタニルを適量投与する.デクスメデトミジン持続静注(0.4 μg/kg/hr)も有用となる.

4.2 LVAD術中のTEE

4.2.1 LVAD装着前

LVAD装着前の心臓の状態をTEEにて麻酔導入後に迅速に評価する.左室内に血栓がないことを確認する必要がある.とくにLVAD脱血管を挿入する心尖部を詳細に観察する.肥大型心筋症や拘束型心筋症では左室内乳頭筋や