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p.34 抽出テキスト

しては,出血が落ち着いた段階からヘパリンの静注を開始し,APTT値で40~60になるように調節する9, 250).経口摂取が可能になった段階でアスピリンの投与を開始し,同時にワルファリンも開始する.PT-INRは2.0~3.0または2.5 ~3.0くらいが望ましい9, 250).また保険適応外ではあるが, HVADは植込型右室補助人工心臓としても使用されている251).

3.7 BTB(体外設置型VADから植込型 LVADへの植替え)

心原性ショック状態は植込型LVADの手術成績が悪いことが知られ,植込型LVAD移行については,IMPELLA, IABP,VA-ECMO等でできるだけ低侵襲に全身状態の改善を図った後に行うが15),体のサイズ等の問題で低侵襲な補助循環が成り立たない場合や1ヵ月を超える補助循環が必要な場合は,体外設置型VADを植込型LVADへのブリッジとして使うこと(BTB)が必要となる.体外設置型VADとしては従来のニプロVAD以外にも,適応外使用ではあるが遠心ポンプも用いられている.

BTBの利点は,十分な左心バイパス流量が取れることや離床してリハビリが可能であり全身状態の改善につながる.問題点は手術侵襲とともに,送脱血管皮膚刺入部からの感染のリスクがあり,BTBを介して植込型LVADへ移行した症例のポンプポケット感染回避率,LVAD植込後生存率はBTBを介さない症例に比して不良である5).したがって手術の際には,体外設置型VADの送脱血管皮膚貫通部から,植込型LVADのポンプポケットへの感染を予防するための工夫を要する.体外設置型VADの送脱血管走行部を植込型LVADのポンプポケットから隔離したり,ポンプポケットに予防的に大網などを充填する方法が用いられている252).

3.8 合併術式(AS,AI,人工弁,MS,MR, TR,PR)113, 209)

3.8.1 大動脈弁

a. 大動脈弁狭窄症(AS)

VADによって大動脈へ血液が駆出されるために通常は治療を必要としない. b. 大動脈弁閉鎖不全症(AI)

中等度以上のAIは植込型VADの禁忌である.連続流VADを装着すると,残存心機能に応じて脈圧が小さくなると同時に拡張期血圧(DP)が上昇し,左室拡張末期圧(EDP)は著しく低下し,持続的にDPとEDPの差が大きく

なる.移植待機期間が長期に及ぶ場合やDT適応の装着の場合には,中等度以下であってもAIの合併はVAD補助に悪影響を及ぼしうる.

中等度以上のAIはVAD装着時に外科的介入が必須である.わが国ではBTTの待機期間が4年以上と長期に及ぶために,またDTでは遠隔期再手術を回避するために,軽度のAIであっても手術介入を積極的に考慮することが多い.弁置換(AVR)の場合には生体弁を使用する.機械弁は人工弁左室側に血栓形成を起こしやすいためである.大動脈弁を縫合閉鎖する方法や大動脈弁輪にパッチを縫着する方法もある147).縫合あるいはパッチ閉鎖の場合は,循環血流は完全にVADに依存することになるので注意が必要である. c. 大動脈弁位人工弁

機械弁の場合には生体弁へ置換することが推奨される.機械弁を摘出しないでパッチを大動脈弁輪に縫着する方法もある.生体弁の場合には弁逆流がなければ新たな介入は必要ない.

3.8.2 僧帽弁

a. 僧帽弁狭窄症(MS)

中等度以上のMSは外科的介入が必要である.生体弁置換が強く推奨されるが,十分な弁口面積を確保できるのであれば交連切開術でもよい. b. 僧帽弁逆流症(MR)

対象疾患におけるMRはほとんどが弁輪拡大に伴うものである.米国のガイドライン113, 209)では,VAD補助により弁接合が回復するのでMRは放置してよいとしている.左室縮小によっても改善が期待できない形態の場合,重症MRがVAD装着急性期に悪影響を及ぼすと考えられる場合,ならびにBTRを目的としてMRを確実に治療したほうがよい場合は手術介入を考慮する.弁尖逸脱や腱索異常があればそれに応じた術式が必要となるが,通常はリングによる弁輪縫縮で十分である. c. 僧帽弁位人工弁

僧帽弁位人工弁は機械弁・生体弁を問わず置換の必要はない.VAD補助中に心室性不整脈が多発して有効な左室収縮がなくなると,機械弁は開放位固定となり,血栓弁の可能性が高くなる.

3.8.3 三尖弁閉鎖不全症(TR)

右心拍出は安定したLVAD補助において不可欠である.重症TRは生体弁置換または弁輪縫縮が必須である.中等度TRであっても,移植待機期間が長期の場合,弁輪拡大