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p.33 抽出テキスト

する.理想的には大動脈弁が開閉する最大の回転数まで上げる.回転数を上げすぎるとサッキングを誘発し,右心不全の原因になりうる.適切な左室径を維持するように心エコーで定期的に観察して回転数を調節する.

3.4 HM-3 223, 236, 237)

心膜は横隔膜付着部に沿って切開し,心尖部を3~4 cm越えるまで切開を延長する.心嚢の拡大が軽度あるいは胸郭の横幅が狭い場合には,横隔神経の損傷に注意しながら心膜に加えて左側壁側胸膜も大きく開窓して,ポンプ本体を左横隔膜上に配置するようにする.横隔膜の胸郭への付着は切離するが,ポンプポケットの作成は不要である.

VADの操作は心拍動下または心室細動下で行う.大動脈弁への介入を行う場合には心停止とする.必要に応じて僧帽弁や三尖弁への手技をまず行う.卵円孔開存は必ず閉鎖する.

心尖部を十分に脱転して,僧帽弁方向へ向けて解剖学的心尖部をくり抜く.左室内に血栓がないかをよく観察する.脱血の妨げとなる肉柱を切除する.心尖カフ縫着には12針のプレジェット付き2-0または3-0糸を使用する.補強のために4-0糸でカフ全周にわたって連続縫合を行う.送血人工血管が心臓のacute marginに平行になるようにポンプを左室内へ挿入し,カフロックを留める.DT目的では必須ではないが,将来の摘出に備えてポンプを包むように心尖部をGore-Tex膜で被覆する.

送血人工血管をポンプ本体に接続したまま,屈曲しないように注意しながら適切な長さに切離し,上行大動脈に吻合する.人工心肺の補助を下げながらVADの駆動を開始する.日本人の至適回転数は経験的には5,000~5,800 rpmである.

術後の抗凝固療法や抗血小板療法は他の機種と同様で,ワルファリン(PT-INR 2.0~2.5)と少量アスピリンを使用する.理想的には大動脈弁が開閉する最大の回転数まで上げる.回転数を上げすぎるとサッキングを誘発し,右心不全の原因になりうる.適切な左室径を維持するように心エコーで定期的に観察して回転数を調節する.

3.5 Jarvik2000

Jarvik2000 は直径2.5 cm,重量90 gと小型軽量の軸流ポンプで,インフローカニューレがなくポンプ自体が左室内に植込まれる.したがって,ポンプポケットを作製する必要がなく,体表面積1.2 m 2以上で植込適応とされている.流量モニターは装備されておらず,臨床症状,心エコー所見を参考にマニュアルでポンプ回転数を8,000~12,000

rpmまで設定する.大動脈弁の開放と左心室から上行大動脈への血液拍出を促すことにより,左室内や大動脈基部での血栓形成を予防することを目的として,64秒中8秒間,自動的に回転数が下がる設定(intermittent low speed mode)が装備されている227, 238).この機能があるため,送血グラフトは上行大動脈のほかに下行大動脈にも吻合することが可能であるが,VAD回転数が下がっている間は大動脈弁が開放し,大動脈基部の血流うっ滞が解除されていることを確認する239).アウトフローグラフトは屈曲予防のため20 mmリング付きゴアテックスグラフトでカバーする.ドライブラインは通常の上腹部から体外へ導出する方法以外に,耳介後部で頭蓋骨に固定した体内ケーブル末端の台座(post-auricular pedestal)に体外ケーブルを接続することも可能で240),この方法ではドライブライン感染は低率であると報告されている241, 242).

周術期はドレーン排液の減少が得られたのち,ヘパリンを少量から開始して徐々に増量する.経口摂取開始後にワルファリンを開始する.PT-INRは2.0~3.0に目標を設定し,禁忌がないかぎりアスピリンを併用する.

3.6 HeartWare Ventricular Assist Device (HVAD)

HVADは,容量50 cc,重さ160 gと小型の遠心ポンプで,内部のローター(羽根車)は磁力動圧浮上システムにより1,800~4,000 rpmで回転浮上し,最大拍出流量は10 L/minであり,ローターは非接触性であるため優れた抗血栓性を有している.

手術は胸骨正中切開もしくは左開胸にて行う218, 243). BSA<0.6 m 2の小児症例にも植込まれているが244),小児症例以外ではポケット作製は不要である.通常は人工心肺下に植込を行うが,人工心肺を用いずに植込む方法もある245).適切なinflow cuffの縫着位置を決定後に,固定のネジの向きに注意しつつ心尖部にカフを縫着する243, 246, 247).この心尖部の位置決定が重要であるが,他の部位から挿入する報告もみられる248).HVADを装着して専用のネジで固定する.次に10 mmのoutflow graftを上行大動脈へ端側吻合する.ドライブラインを右季肋部9, 246)または左季肋部243)を通じて体外へ誘導し,本体とコネクトしてHVADを1,800 rpmから開始し,適宜流量の調節を行う.

一般的なHVADの推奨回転数は2,400~3,200 rpmで,フローはCI(心係数)で2 L/min/m 2以上が望ましい246).術後の高血圧が脳合併症と関連あり249),平均血圧70~80 mmHgを目標に血圧管理を行う.術後の抗凝固療法に関