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p.30 抽出テキスト

床心理士,ソーシャルワーカー,人工心臓管理技術認定士,レシピエント移植コーディネーター,VADコーディネーター等による多職種による医療チームがあたる.終末期医療では,まず本人の苦痛,全身倦怠感,抑うつ状態を緩和する医療を最優先とし79),次に中止する治療と継続する治療について,患者本人または,本人の意思を示す事前指示書等に基づきケアギバーと相談のうえ決定する.

循環器疾患の終末期における延命治療の中止に関しては,2013年の日本循環器学会・日本心臓血管外科学会合同の「重症心不全に対する植込型補助人工心臓治療ガイドライン」2),2014年の日本救急医学会・日本集中治療医学会・日本循環器学会合同の「救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン」206),2018年の日本循環器学会・日本心不全学会合同の「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」79)においても,本人意思または事前指示書等に基づきケアギバーと相談のうえ,多職種で判断しプロセスを踏んで行うことが示されている.なお,終末期状態でないにもかかわらず本人あるいはケアギバーから植込型LVAD駆動中止の強い要望がある場合など,医療チームで判断できない場合には施設倫理委員会で判断の妥当性を検討することも勧められる.

診療録記載においては終末期の判断やその後の対応は主治医個人ではなく多職種からなる医療チームの総意によることを明確にする.その医療チームによる方針の決定,診療のプロセス(手術説明,承諾,事前指示の確認,終末期の判定,緩和ケア,延命中止の説明,同意,ケアギバーのケア等)を診療録に記載する.とくに終末期の診断とその根拠,ケアギバーへの説明内容とケアギバーの理解状況,事前指示書を含む患者本人の意思,患者ケアギバーの意思,状況の変化の記載は重要である.

1.12 術前の治療最適化

LVAD装着後の予後規定因子として,LVAD装着の緊急度,術前の肝および腎機能障害,右室機能不全の合併がある50).術前より治療の最適化を図り,状態を良好(可能なかぎりINTERMACS Profile 3以上)に保つことで術後の予後を担保する.

重症心不全患者の肝腎機能障害は血行動態の異常に起因することが多い.体液貯留や低心拍出の評価を行い,利尿薬調整や強心薬投与,IABP,VA-ECMO,IMPELLAなどの補助循環サポートによる血行動態の最適化を図る35).術前の右心機能評価も重要である.右心機能低下がある場合には,利尿薬調整や持続的血液濾過透析,強心薬,補助循環サポートなどにより,血行動態の最適化を図る207).不整脈に対しては,術前より薬物治療を考慮する.とりわ

け,心室頻拍はLVAD装着後に右心不全の原因となりうるため,術前より積極的に治療介入を考慮する.必要に応じてカテーテルアブレーションや手術時のクライオアブレーションも検討する.

感染のリスクを評価し,術前に不要な点滴ラインやカテーテルなどは可能なかぎり抜去する.術前の口腔感染管理は重要であり,介入が必要な場合には,口腔ケアや歯科治療を検討する.菌血症を有する場合,LVAD装着前に適切な抗菌薬を最低1週間は使用し,血液培養陰性化から5日以上再燃しないことを確認する.出血あるいは血栓傾向がある場合には,コントロールを図る113).

肥満は手術リスクとなるため,体重コントロールは必須である.糖尿病患者では,術前の血糖コントロールも重要である.管理に難渋する場合には,専門医へのコンサルトを考慮する.アルブミンやプレアルブミンなどの栄養状態の評価を行い,不良な場合には栄養サポートチームに介入を依頼する.ときに経腸栄養や中心静脈栄養の併用も考慮される.筋力保持のためには,術前より心臓リハビリテーションの導入が望まれるが,重症例では慎重な導入が望まれる208).

2.1 初回植込手術

植込型LVAD植込術は腎機能,肝機能や肺血管抵抗上昇などの臓器障害が進行する前に行うことが望ましい113, 205, 209-211).植込型LVAD装着のタイミングを考慮する場合,INTERMACS重症度ではProfile 3が最もよい植込時期である113, 209).遅くともProfile 2の段階で植込を行うことが好ましい.植込成績改善のためには,心不全の状態が許すかぎり栄養状態を改善し,肺血管抵抗を低下させ,肝うっ血を軽減し,腎機能の最適化を促し,凝固機能を改善させ,感染症の治療と予防を進めるべきである113, 209). Profile 1における植込型LVAD装着は十分に許容できるとの報告が散見されるものの212),一般的には成績が不良であるために推奨されない205, 209).わが国では,Profile 1の場合には全身状態と臓器障害を改善させて植込型LVADの適応となるようにtemporary VADによる治療を進める213, 214).わが国では当初はProfile 1の代表的病態であるECMO装着は植込型LVADの適応外とされていたが,

2 植込手術のタイミング