GL検索 v0.1.0
画像は 61 ページを描画したものです
page 61

p.61 抽出テキスト

3.4.1 内科医の川崎病に対する理解

一般内科医では,乳児期に急性期の川崎病を診断,治療する機会はまれであるので,川崎病急性期の病態の理解は不十分であると思われる.しかし,川崎病を一般の小児科医が診断できるようになってから35 年以上が経過し,乳幼児期に川崎病に罹患した患者が成人に達しつつある.さらに,17 歳の少年が成人の川崎病を発症した症例報告452)もあり,今後ますます内科医,とくに循環器内科医が成人期川崎病の病態を深く理解することが重要になりつつあると考えられる.したがって,とくに内科医を対象とした専門医の育成が必須である.また,医師以外のコメディカルを含む医療関係者に対しても,成人期川崎病心臓血管後遺症の教育は必要であり,定期的なセミナーなどで理解を深める活動が大切である.

3.4.2 小児科医と循環器内科医との連携

小児科での経過観察後,成人した症例に関しては,その臨床経過と検査所見を内科と小児科で共有することが必要である.そのため,内科医は小児科医と連携を密に取り合って,とくに循環器内科が連携し,成人期川崎病心臓血管後遺症症例の診断と治療,そして,予後の追跡を行うことが必要である.

3.4.3 若年者冠動脈瘤,心筋梗塞と川崎病

冠動脈瘤のある症例で注目すべき点は,虚血性心疾患の発症時期は,その大半が川崎病の疑われる症状の発現時期より平均20 年もあとであることである453).つまり,冠動脈瘤はあるが臨床症状のない小児科領域の川崎病症例が思

春期以後,成人となったあとで虚血性心疾患を生じる454).また,川崎病では心筋梗塞が狭心症より多く,冠動脈瘤に由来した特徴と考えられる.以上から,心筋梗塞や心血管症状のある若年成人者をみたら,幼少時に川崎病の既往があるか確認するべきである455).このためには,小児期における診療情報を的確に保存し,開示するシステムが必要と考える.

3.4.4 成人型心筋梗塞との比較

成人型心筋梗塞のおもな原因は,粥腫の崩壊と血栓形成であると考えられている.しかし,川崎病の病理所見で興味深いことは,著明な動脈硬化にも関わらず,高度の粥状動脈硬化病変はみられないことである456).したがって現在のところ,川崎病心臓血管後遺症が粥状動脈硬化の促進因子か否かは不明である.また,川崎病心臓血管後遺症患者のCAL のリモデリングは,川崎病発症数年後も継続し,内膜増生と新生血管が認められる.これは,若年動脈硬化患者の所見と異なる109).川崎病心臓血管後遺症を疑わせる巨大冠動脈瘤を含む重症3 枝病変の症例報告もあり457),成人期川崎病心臓血管後遺症患者のCAL のリモデリングは,今後問題となると考えられる.

近年,川崎病心臓血管後遺症に加え,粥状動脈硬化症を併発した,より複雑化した病態の出現が今後予想されており,特殊な成人期川崎病心臓血管後遺症の病理,病態を理解して治療できる専門医の要請が望まれる.その教育にあたっては,小児科医の協力なしでは達成できないと考えられる.