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p.59 抽出テキスト

イドライン(2010 年改訂版)」429),「禁煙治療のための標準手順書第6 版」430)に準拠する. e.心理的ストレス・ 学校,職場における心理的ストレスの減少・除去に

努める.規則正しい生活をし,睡眠も十分に確保する.

3.2.2 運動指導

近年,成人の粥状動脈硬化に起因する冠動脈疾患に対しては,積極的な心臓リハビリテーションが望まれ,その成果を着実に上げている.しかし,成人期での川崎病心臓血管後遺症患者に対しては,その大部分が時間的制約のある比較的若年者であることもあり,心臓リハビリテーションを効果的に実践している症例はまれであると思われる.今後,心機能障害を伴う成人期での川崎病心臓血管後遺症患者を対象に,心臓リハビリテーションの励行と心臓リハビリテーション施設の充実が望まれる.

心臓リハビリテーションの具体的な運動処方,運動指導に関しては,「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2012 年改訂版)」431)に準拠する.今後エビデンスの確立が求められるもの

成人期での川崎病心臓血管後遺症患者に対する心臓リハビリテーションの効用に関する全国規模のレジストリー研究の実施.

3.3 妊娠・分娩・出産

【要旨】• 患者が授産年齢に達したときに,出産に関連するリス

クを説明する.川崎病既往で冠動脈障害のない場合は,妊娠分娩にさしつかえない(推奨クラスI,エビデンスレベルC). • 狭窄性病変による心筋虚血のある患者は,妊娠前に

冠血行再建術を考慮する(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC). • 心筋虚血,心筋障害,心機能低下のある患者では,

妊娠後期,分娩時,分娩前後の循環動態の変化,心室性不整脈の出現に注意し,状態に応じて帝王切開を考慮する(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC). • 小児循環器科医,循環器内科医,産科医は協力し,

個々のケースに応じて心イベントに備える体制を整える(推奨クラスI,エビデンスレベルC). 3.3.1 妊娠,分娩における諸問題

妊娠後,母胎の循環動態,血液凝固・線溶系は週数を経て変化する.循環血液量は,妊娠前にくらべて40 ~50%増大する.妊娠時には凝固因子が増加し,線溶系には抑制傾向がみられ,血栓形成のリスクが高くなる.分娩時,痛みにより交感神経系が緊張し,心負荷がかかる状態になる.分娩前後の急激な変化は心機能に影響を与え,循環動態が安定するまでに4 ~6 週間かかる432).川崎病心臓血管後遺症をもつ患者の妊娠,分娩時の注意点は,妊娠,分娩の変化に対応できる心機能であるか,抗血栓療法を中心とする妊娠中に服用する薬剤の問題と分娩様式の選択,妊娠,分娩前後に発症しうる心イベントに対する対処である433).

患者が授産年齢に達したとき,冠動脈障害,心筋虚血,心筋障害の評価を行い,出産のリスクをできるだけ少なくできるよう妊娠前に治療し,出産に対する対応,リスクについて説明する.ワルファリン内服患者では,十分な説明と出産計画が必要である.画像診断については,妊娠12週以降では心臓,冠動脈MRI 検査が可能である434).この患者群の出産については,患者集団は小さくエビデンスに乏しいが,これまでに重篤な心イベントの報告は限られる435–437).川崎病冠動脈障害が疑われた患者が,分娩後10 日に急性心筋梗塞を発症し,CABG を受けたという症例報告がある438).一方,冠動脈障害が認識されずに出産している場合もある.

3.3.2 分娩

NYHA 心機能分類I 度,心筋虚血がなければ,出産は可能である(推奨クラスI,エビデンスレベルC).心機能低下(左室駆出率40% 以上50% 未満)がある場合は,循環動態の変化による心機能の増悪に注意が必要である439).心筋虚血がある場合は,分娩時の心負荷による虚血をできるだけ軽減しなければならない.

分娩様式は,心機能が正常範囲で虚血がない場合は,産科的適応により分娩方法を選択する.心機能低下のある患者の分娩では,血行動態,心電図の変化を厳重に監視する.経腟分娩では,分娩第2 期のいきみによる心負荷のリスクを避けるため,鉗子分娩,吸引分娩,硬膜外麻酔が有用である439)(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC).母体に自覚症状がある場合,心筋虚血がある場合は,帝王切開を考慮する(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC).心イベントを発症した場合は血行動態の安定化をはかり,心イベント後の心機能,全身状態により,経腟分娩か帝王切開,硬膜外麻酔か全身麻酔かを選択する435, 440).