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p.55 抽出テキスト

脈硬化性50%,先天性30%,炎症性(川崎病,高安動脈炎,全身性エリテマトーデス[SLE]など)15%,遺伝性結合組織病(Marfan 症候群,Ehlers–Danlos 症候群),全身性症候群(Noonan 症候群,Williams 症候群),外傷性(胸部外傷,カテーテル治療)と報告され386, 387),個別の臨床的評価が必要である.遠隔期に冠動脈瘤を伴わない狭窄性病変,退縮瘤例では,CAG,MDCT などを用いた画像所見(巨大冠動脈瘤,リング状石灰化,閉塞後際疎通像,重度の内膜肥厚)から診断が試みられるが101),川崎病の診断が困難なことが多い.川崎病による冠動脈障害に準じて加療される.

今後求められるエビデンス

• 移行医療の対象となる川崎病後冠動脈障害例におけ

る,抗血小板療法,抗凝固療法,スタチンの有益性.さらに,抗血小板療薬2 剤併用(DAPT),ワルファリン投与の不利益性の有無. • 川崎病既往不明の成人における川崎病既往ないし川

崎病性CAL の診断法. • 退縮瘤の長期リスクの階層化とリスクに応じた長期

フォローの必要性の確立.

3.1.2 非薬物治療

a.カテーテル治療

【要旨】• 若年発症のACS において,川崎病によるCAL に起

因するかどうか鑑別診断が必要である. • 治療方針について,熟練した冠動脈インターベンショ

ン医,心臓外科医,川崎病の心合併症を理解した小児循環器科医により合同で検討することが望ましい(推奨クラスI,エビデンスレベルC).

成人の虚血性心疾患では,ACS の発症,とくにST 上昇型心筋梗塞(STEMI)に対する治療は,わが国では主としてprimary PCI が施行されている159).1980 年代から冠動脈疾患集中治療室(CCU),door to balloon time の体制の進歩により,ACS の救命率は向上してきた.一方,生活習慣の変化により,若年性心筋梗塞の割合が増加している.川崎病は報告されてから50 年以上が経過し,生活習慣病による虚血性心疾患を呈する年齢層における患者が増加してきた.小児期に川崎病罹患によるCAL があっても無症状に経過し,加齢に伴いCAL に起因するACS を発症し,救急病院に搬送されうる.成人の虚血性心疾患に占める割合は低いが,若年発症のACS では原因として川崎病の

CAL を鑑別するべきである317).若年発症のACS のうち,この患者群は約5 ~10% と報告されている317, 388).

近位部の石灰化した冠動脈瘤やセグメント狭窄などの特徴的所見がある場合は川崎病によるCAL を疑う389).また,若年で冠危険因子がなく,瘤がない場合でも,主要冠動脈近位部に石灰化がある場合には,川崎病による冠動脈瘤の退縮病変の可能性もあるので,小児期の川崎病の既往を確認する必要がある390).粥状動脈硬化性疾患においても約5% に拡大性病変がみられるので鑑別診断が必要である391).川崎病による冠動脈瘤の場合,加齢に伴い,瘤に一致した高度の石灰化を伴っている.粥状動脈硬化に起因する場合は,冠動脈にびまん性に石灰化病変があり,石灰化の分布においてやや違いがある392).

成人の虚血性心疾患では,PCI の成績が血栓溶解療法を上回り,primary PCI において薬剤溶出ステント(DES)を留置する手技がスタンダードである159).しかし,川崎病によるCAL において,ステント留置のエビデンスは乏しい.血栓吸引療法,経皮的バルーン血管形成術なども選択されうる317).迅速にPCI が可能な施設への搬送が困難であれば,血栓溶解療法も考慮する.選択的CAG で,血栓が主体であるのか,高度の石灰化を伴う局所性狭窄があるのか,血管内イメージングによる画像診断による評価が必要である.若年の場合,ステント留置については緊急の救命のため以外は避ける方が望ましい317, 393).

重症虚血に伴う心原性ショック,致死性不整脈による血行動態の破綻に対して,救命のために迅速に大動脈内バルーンポンプ(IABP),経皮的心肺補助装置(PCPS)などの左室補助循環の導入が必要である.また,施設要件があるが補助循環用ポンプカテーテルインペラ(IMPELLA)や静動脈体外膜型人工肺(VA-ECMO)もある159).PCIによる虚血の解除後血行動態が安定するまで,CCU にて厳密な呼吸,循環管理を行う.強心剤,抗不整脈薬などによる薬物治療に加え,ACE 阻害薬,β遮断薬,ハンプなどにより心室のadverse remodeling を軽減する.慢性心不全に対しては,適応を満たせば心臓再同期療法(CRT),致死的不整脈に対しては,アブレーション,植込み型除細動器(ICD)などのデバイス治療394–396),重症心不全が改善しない場合は,補助人工心臓である左心補助装置(LVAD),心臓移植が考慮される.

熟練した冠動脈インターベンション医,心臓外科医,川崎病の心合併症を理解した小児循環器科医により合同で検討する(推奨クラスI,エビデンスレベルC).川崎病によるCAL の自然予後はいまだ不明である.緊急時の介入は必須であるが,川崎病によるCAL は,ACS の発症時以外