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p.42 抽出テキスト

おいて報告は少ないが,病変ごとの虚血の判定が可能で,成人例においては有用である.

2.1.4 PCI とCABG の選択

成人の安定型虚血性心疾患では,一枝病変ではPCI が,左主幹部/ 多枝病変では,SYNTAX スコア,糖尿病の有無によりPCI またはCABG が推奨される127).しかし,狭窄病変の形態,手技の侵襲度,合併症,年齢,体格,性別,服薬アドヒアランス,出産などを含むライフプラン,長期予後,費用を考慮し選択する251, 303).冠動脈瘤を伴う局所性狭窄において,PCI による狭窄の解除により虚血の改善は得られる.しかし,冠動脈瘤の併存例では血栓性閉塞のリスクは残存するため,心筋梗塞を予防することはできない. CABG は,1 年開存が得られれば20 年以上の開存が期待でき,病変部が完全閉塞しても冠血流は保持される303).PCIはnative 血管を修復し必要な血管腔を確保しようとする手技であり,CABG は冠血流を確保するために別経路を作成する手段であるため,根本的に方法は異なる.両者の手技の成功を得るための最適介入時期は,合併症のリスクも含めるとやや違いがある.PCI は長期的には再狭窄がありうるので,再介入が必要となりうる.PCI 後は抗血栓薬の継続は必須であるため,服薬アドヒアランスが良好な患者でなければならない.

今後求められるエビデンス

• 緊急PCI の遠隔期成績と予後. • PTCRA の遠隔期成績と予後. • ステント留置の遠隔期成績と予後.

2.2 外科治療(表16)

【要旨】• 臨床的な虚血症状や心筋梗塞,心筋シンチグラフィ

における虚血所見もしくはFFR による評価で,虚血もしくは有意狭窄を有する左前下行枝,回旋枝への,左もしくは有茎右内胸動脈によるCABG(推奨クラスI,エビデンスレベルB). • 臨床的な虚血症状や心筋梗塞,心筋シンチグラフィ

における虚血所見もしくはFFR による評価で,虚血もしくは有意狭窄を有する右冠動脈に対して,有茎内胸動脈もしくは有茎胃大網動脈を使用したCABG (推奨クラスIIa,エビデンスレベルB). • 左主幹部病変もしくは左前下行枝近位部,3 枝病変, 2 枝病変へのCABG(推奨クラスI,エビデンスレベ

ルB). • 心筋梗塞の既往や低心機能,PCI に不適な病変など

は,PCI よりCABG を考慮すべき要因となる(推奨クラスI,エビデンスレベルB). • CABG に際しては,人工心肺の使用(conventional)

が推奨される(推奨クラスI,エビデンスレベルB).

2.2.1 CABG の適応

長期間効果が持続するCABG を,機を逸することのないタイミングで行うことにより,心機能が保たれ,良好な予後が期待できる.Kitamura らによれば,手術適応は, 75% 以上の狭窄を有し,心筋梗塞や心電図変化,薬剤や運動負荷によるシンチグラフィや心電図で虚血が認められるものが適応としている330).また,病変枝数に関しては, Tsuda らの報告では,12 歳未満川崎病患者に対するCABG の報告では,1 枝42 例(59%),2 枝(30%),3 枝(8%)であり331),とくにPCI による治療の信頼性が確立されていない小児期においては,手術の安全性は高いことを考慮すると,多枝病変にこだわる必要はない.12 歳未満に対するCABG の検討で,CABG はPCI よりこの年齢層では好ましいと述べている331).とくにPCI の有効性が確かでない小児若年例に対しては,ACS に対してもCABGが第一の選択肢となりうる332).

CAL の狭窄度は,グラフトの開存性に影響する重要な因子である.とくに,中等度から軽度狭窄枝に対するCABG は,50% 狭窄の枝では,グラフト閉塞することが多く,LAD 以外の75% 未満の枝についても,機能的に閉塞することが多い331).このため,術前の狭窄度の評価が重要である.成人CAL の評価では,肉眼的な狭窄度評価の信頼性は低下し333),FFR による機能的な評価が主体となっている.しかし,小児期患者におけるFFR 測定はいまだ一般的に行われておらず,その有効性の評価もこれからの重要な課題である.FFR の導入は,少ないグラフト本数でも,開存性が高まり,結果として,狭心症の再発や無駄なグラフト消費を回避することができる334-336).Ogawa らは,機能的狭窄度の評価としてのFFR と冠血流予備能(CFR)については,川崎病においても有用であり,cutoff 値は,非川崎病と同等で,CFR 2.0,FFR 0.75 が適切であると報告している128).また,負荷シンチグラフィによる虚血の有無など,冠動脈の病変だけでなく,評価方法により適応を決めることが,グラフトの開存性や,グラフトを無駄に消費せずに有効活用するために重要である.