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p.40 抽出テキスト

テーテルやデバイスが限られ,選択できる手技は限定される303).また,その標的病変の形態は巨大冠動脈瘤や高度の石灰化病変を合併し,多様である.川崎病によるCAL に対するPCI の方法・手技は,成人の虚血性心疾患におけるPCI と比較し,確立されているわけではない.患者数が少ないためエビデンスレベルは低い.

2.1.1 緊急PCI

a.目的

閉塞責任血管の再灌流により急性心筋虚血を改善し,心筋梗塞巣を最小範囲にとどめることにより心機能を保持し,急性期心イベントによる救命と遠隔期予後の改善をはかる294, 304). b.適応

発症から12 時間以内の急性心筋梗塞が適応となるが,できるだけ早期の再灌流を目指す159). c.手技

i.血栓溶解療法

PCI が実施困難な体格の小児患者や発症早期にPCI の実施が困難と判断した場合は,冠動脈内または経静脈的血栓溶解療法を行う(第4 章1.5 血栓溶解療法・再灌流療法を参照のこと). ii.primary PCI

専門施設でPCI に熟練した術者により施行されるべきである.血行動態については,比較的安定している場合と心原性ショックを含む不安定な場合がある.緊急時の左室補助循環やCABG が可能な体制が必要である. 1 血栓吸引療法

川崎病による急性心筋梗塞の病態は,巨大瘤内の血栓性閉塞が主体である.巨大瘤内の血栓は多量で新たな血栓の出現が持続し,血栓吸引のみでは再灌流ができない場合がある305)(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC).ヘパリンやアルガトロバンなどの抗凝固薬やバルーン形成術の併用が必要である. 2 古典的経皮的血管バルーン形成術(POBA)

責任CAL の狭窄度が軽度で閉塞原因が血栓主体である場合や,血栓溶解療法のみで再灌流が得られない場合はバルーン形成術が有用な場合がある145)(推奨クラスIIb,エビデンスレベルC). 3 ステント留置術

初期成績は有効と報告されているが,長期成績は不明である306, 307).巨大瘤内の血栓が多量である場合,病変の血管径を過小評価することがあるので,留置に際しては,血管内エコー法(IVUS),光干渉断層法(OCT)による正確な評価が必要である.高度の石灰化を伴う狭窄病変では,遠隔期に新生瘤や,ステントの断裂(stent fracture),ステントのmalapposition が出現する場合がある308–310).救命を目的とする以外は回避する方が望ましい.

2.1.2 待機的PCI

a.目的

症状,心筋虚血を改善し,心イベントを抑制する. b.適応

75% 以上の局所性狭窄があり,胸痛などの症状を伴うか,運動負荷試験,薬物または運動負荷による心筋SPECT,プレッシャーワイヤーを用いた血流予備量比(FFR),瞬時血流予備量比(iFR)などの各種モダリティ(心エコー検査,CT,MR,PET)による心筋虚血が検出され,心筋バイアビリティがある203, 249). c.参考所見・ トレッドミル検査による虚血所見

表15 川崎病心臓血管後遺症におけるカテーテル治療の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

緊急PCI血栓溶解療法(小児) I C血栓溶解療法(青年期以降) IIa C血栓吸引療法IIa C POBA IIa Cステント(BMS) * *ステント(DES) * *血管内イメージングによる評価IIa C待機的PCI POBA(石灰化を伴わない局所性狭窄) IIa C PTCRA(石灰化を伴う局所性狭窄) IIa Cステント(BMS) * *ステント(DES) * * DCB * * CTO * * CABG 術後吻合部狭窄I C血管内イメージングによる評価IIa C機能的虚血評価(FFR, iFR) IIa C * 川崎病心臓血管後遺症における推奨とエビデンスレベルは確立されていない.