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p.39 抽出テキスト

ランジル(ともに小児への適応はない)が成人同様有用である可能性がある(推奨クラスIIb,エビデンスレベルC).

小児では激しい啼泣や嘔吐などで心筋梗塞や狭心症が判明したり胸痛を的確に訴えられないことがしばしばある.したがって川崎病既往児,とくに心臓血管後遺症のある児に上記の症状を認めた場合,胸部X 線撮影,12 誘導心電図,心エコー法,血液生化学検査などを積極的に行う必要がある.来院直後には有意なST-T 変化が認められないことがあり,心電図を経時的に記録することは重要である.

川崎病に合併する急性心筋梗塞の治療方針は,早期に虚血心筋の再灌流を目指す点では成人のACS と同様である.しかし,乳幼児期に心筋梗塞を発症した場合はprimary PCI はしばしば困難で,かつ施行可能な施設への転送に時間を要する場合もあり,ウロキナーゼないしtPA の全身投与による血栓溶解療法(静注法)を選択せざるを得ない場合も多い268).川崎病に限っての大規模研究はないが,成人のSTEMI では発症12 時間以内で,かつ診断から2 時間以内にprimary PCI を施行できない時に全身投与による血栓溶解療法が推奨される.ヘパリンは再灌流療法が施行される以前からACS に有効とされ,ウロキナーゼやtPAを投与した症例においてもprimary PCI 施行時にはAPTTモニタリング下でヘパリンの併用を考慮が推奨されている159).2004 ~2009 年の症例を対象とする厚生労働省研究班全国調査では,無症候性冠動脈内血栓症には静注法, STEMI を発症した5 例には冠動脈内血栓溶解療法(ICT)が選択され(うち1 例は全身投与と併用),とくに発症数時間以内で直径10 mm 以下の冠動脈瘤にはICT が効果的であると報告された296).学童期以降の川崎病既往児がACS を発症した場合には,粥状動脈硬化に起因するACSに準じてprimary PCI を優先することが望ましい2).

一般的な内科的治療法として1酸素投与,2血管確保, 3鎮痛・鎮静,4循環動態の維持・回復(心原性ショックへの対応),5抗心不全・抗不整脈などがある.胸痛の持続は心筋酸素消費量を増大させるので,鎮痛・鎮静はとくに重要である.

急性心不全やそれに伴う心原性ショック・低血圧・循環不全に対し利尿剤・ドパミン・ドブタミン・PDE 阻害薬(ミルリノンなど)が持続静注されるが,カテコラミンにより後負荷を増さないよう慎重に投与する159, 297).再灌流療法補助としてカルペリチド(心房性ナトリウム利尿ペプチド)とニコランジルが注目されているが,小児期ACS や川崎病合併症におけるエビデンスはない.カルペリチドは血管拡張作用・利尿作用を有し,急性心筋梗塞においては心臓交感神経活性の改善,レニン・アンジオテンシン・ア

ルドステロン系(RAAS 系)の抑制による左室リモデリング防止効果が知られている.ニコランジルはprimary PCIの前もしくは後に投与することにより微小循環改善や慢性期心機能改善効果が指摘されている159).カルペリチド,ニコランジルともに心不全への適応はあるが,小児への適応はない.

今後エビデンスの確立が求められるもの

川崎病冠動脈瘤によるACS に対する血栓融解療法の適応と効果,とくに年齢層ごとの至適治療法の選択

2 非薬物療法(冠動脈血行再建術)

2.1 カテーテル治療(表15)

【要旨】• 急性心筋梗塞に対する緊急PCI は,熟達した医師に

より,緊急CABG が可能な施設で施行することが推奨される(推奨クラスI,エビデンスレベルC). • 待機的PCI は,心筋虚血が検出される場合に適応と

なる. • 冠動脈石灰化を伴う局所性狭窄にはロータブレータ(高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテル, PTCRA)が適している(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC). • 小児患者では,アプローチやリファレンスの血管径が

細いことが制限因子である. • 川崎病冠動脈障害の特徴である高度石灰化と巨大瘤

に対する対処に注意が必要である.

粥状硬化による虚血性心疾患の冠動脈血行再建術において,PCI は冠動脈バイパス術(CABG)とともに大きな役割を果たしている298–300).川崎病によるCAL では,対象が乳幼児を含む小児期から成人期に至るまで年齢層の幅が広い.老年期までの寿命を担保し,生涯にわたる良好なQOL を維持することを最終目標とする.冠血行再建を必要とする患者の割合は,川崎病既往者の1% 未満である301, 302).体格の小さな小児では,アプローチやリファレンスの血管径が小さいため,使用できるガイディングカ